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最終更新日 2018年09月20日

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フードサービス業界の労務相談
「働いてあげている」「働かせてあげている」はトラブルのもと!
現代の飲食業界において、健全な経営状態を保つためには「健全な労働環境の整備」が必要です。しかしながら中小企業、個人自営業が全体の9割以上を占める飲食業界は他のサービス業界同様、健全とは言い難い労働環境により雇用者と従業員間のトラブルが多い業界です。料理業界はそもそも「職人の世界」である事からいわゆる「サラリーマン的」な勤務意識がなく、【働く=奉公=修業→独り立ち】という図式が成立してきた世界ですが、「外食産業」「フードビジネス業界」の名のもと、メジャー業界として確立するには「正しい労務知識」は無視できません。このコーナーでは飲食業界の労働者・雇用者の両者の視点で正しい労務知識を紹介し、雇用者への啓発・提案、そして労働者への権利・責任などを実例をもとに理解していただき、両者にとってトラブルのない健全で分かち合える職場構築のサポートを目指しています。  
今号のご相談内容

今号のご相談内容

「査定期間は正社員として勤務、支給日がアルバイトに雇用形態変更後だと、賞与はもらえないか」

質問1

Q.

 正社員として働いていましたが、個人的事情により、先日、アルバイトに契約変更して、引き続き働いています。
 さて、賞与についての質問です。賞与査定期間中はすべて正社員として勤務していたのですが、支給日にはアルバイトになっていました。店長からは「正社員用の就業規則に、『賞与は支給日に在籍している者にのみ支給する』という規定があるので、支給するわけにはいかない」と言われています。やはり私は、賞与をもらえないのでしょうか。
【24才 男性】
答え

A.

 微妙な問題を含んでいますが、結論としては、その就業規則の規定が有効となり、賞与をもらえないと判断される可能性が高いでしょう。
 賞与に関して、多くの就業規則には「査定対象期間に勤務していても、支給日に在籍していない者には、賞与を支給しない」という規定がおかれています。このような規定を「支給日在籍要件」と呼びます。支給日在籍要件を有効と認めている裁判例は多くあります。その趣旨は、賞与には賃金の後払い的性格、過去の功労報償的性格のみならず、将来の労働への意欲向上策としての意味合いが込められているからというものです。(なお、賞与の支給日が例年より大幅に遅れた場合、支給日在籍要件を無効とする裁判例があります)
 また、支給日在籍要件が有効となるのは、退職日を自分で選ぶことができる自主退職に限られ、定年退職や整理解雇については適用できない、という説があることにも留意が必要です。
 さらに、一言で「在籍」といっても、正社員から雇用形態が変わっていても「在籍」として扱うのか、という問題が生じます。昨今では、定年退職後の再雇用制度において、再雇用されている者は「在籍」になるのか、という論点が出てきています。
 以上を踏まえ、ご質問のケースを検討してみましょう。一般論としては、支給日在籍要件自体は有効と考えられています。正社員でなくなった理由も、個人的事情とのことですので、この点でも有効となる可能性が高まります。
 問題となるのは、就業規則の文言が単に「在籍」となっている点です。アルバイトとして勤務しているのも「在籍」ではないのか、という主張も成立しうるからです。こうなってくると、就業規則の作成者が、どういった趣旨でその規定を設けたかについて、掘り下げるしかありません。ただ、一般的に言えば、正社員とアルバイトでは、お店において期待される役割も貢献内容も異なるものです。つまり将来に向上してほしい意欲の質も異なると言うことができます。そうすると、アルバイトになった後で支給されるのは、やはり難しいでしょう。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 飲食店においては、正社員からアルバイトへ雇用形態が変更となることもよく見受けられます。支給日在籍要件を設けるからには、争いを未然に防ぐために、「在籍」の定義を明確にしておくべきです。
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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