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最終更新日 2018年11月08日

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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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SAL Y AMOR / サル イ アモール

ビクトル・ガルシア

大きな夢とロマンが折れそうになる心を支える

安泰を感じたことは一秒もない 安心したとたん、衰退が始まる

ビクトル・ガルシア(Victor Garcia)

1983年生まれ、東京都出身。2012年、29歳で代官山にアロセリア(米料理専門店)「「SAL Y AMOR / サル イ アモール」を、2017年には銀座に2号店「La Panza / ラ パンサ」をオープン。

2018年11月掲載

安泰を感じたことは一秒もない 安心したとたん、衰退が始まる

 スペインには、マリスケリア(魚介類)、アサドール(炭火焼、肉料理)などさまざまなジャンルの専門店が存在するが、そのひとつがパエリアやカルデロを中心としたアロセリア(米料理専門店)だ。2012年、「SAL Y AMOR/サル イ アモール」は日本初のアロセリアとして代官山にオープン。以来、一般客はもちろん、スペイン大使館や各国からの旅行客などにも支持され、予約なしではなかなか入れないほど盛況だ。また3年連続「ビブグルマン」に掲載され、2017年には銀座に2号店もオープンした。

 オーナーのビクトル・ガルシア氏に、「サル イ アモール」開業からの6年間について聞いた。 「大変なことしかないですね。安泰だと感じたことは一日も、いや一秒もない(笑)。でも、それが僕には普通です。経営するうえでの課題は数え切れず、ひとつ解決したら次の課題が見えてくる。『これでいいか』なんて思い始めたら一瞬にして店は衰退していくと思うし、店を支えてくれる仲間たちの夢ものびしろがなくなってしまいます。だから『安心したい』という発想はないですね」

 日本人の母とスペイン人の父をもつビクトル氏。父は、日本初のスペイン料理店として知られる青山の「エル・カステリャーノ」のオーナー、ビセンテ・ガルシア氏だ。 「経営に対する考え方は、父の姿を通じて学んだ部分も大きいですね。昔は父の店を継ぐものだと考えていたし、父もそうだったと思います。でも、いつからか独立を意識するようになり、長いあいだ葛藤が続きました。結局、独立への思いが強くなり、29歳で開業に至りました。父は、本心は寂しかったかもしれないけど、快く応援してくれました」

 スペイン料理のなかでもパエリアをメインに据えたのは、お客様にもっとも喜んで頂ける料理を追求した結果だった。 「一緒に開業したシェフと話しているとき、『パエリアがいいんじゃないか』という話になったんです。最初は、難しいと思いましたね。パエリアを何種類も作るのはとても大変だし、僕自身はほかの美味しいスペイン料理も紹介したかった。だけどよく考えると、一般のお客様にとって代表的なスペイン料理ってやっぱり『パエリア』なんです。だったら、それを否定する必要はない。『パエリアで一番美味しい店になろう』と決めました」

家族同然の仲間のためにも

経営者は守りに入ってはいけない

 オープン以来、さまざまな困難があったという。ガルシア氏は、それらをどのように解決してきたのか。 「最初は、『お客様が来ない』という闘いから始まりました。それは運よく時間とともに解決しましたが、次の課題は『個人店から組織への変換』でした。小さな店って丼勘定だったり、ルールもなかったりしますよね。だけど仲間が増えていくとともに、しっかりと組織化していかなければならない。僕もオープン3年目くらいから組織化に着手したんですが、なかなか苦労しました」

 しかし一番の試練は、『ともに店を始めたシェフが辞める』という形で訪れた。 「一番のシェフがいなくなるということは、組織の構図が大きく変わることだし、何より心のダメージが大きかった。オーナーなら誰でもそうだと思いますが、人が抜けるのって、精神的ダメージが大きいんです。『また、これを繰り返すのかな』と弱気になるし、仲間との向き合い方や、店舗展開などいろんな面において『情熱をセーブしたほうが楽かもしれない』と、守りに入りたくなります。でも、すでに僕には大切な仲間がいた。彼らのためにも僕が歩みを止めるわけにはいかないので、前に進み続けようと思いました。結果として、前進するための気合が入りましたね。僕のなかで、経営って『風船』なんです。『維持しよう』と思っているだけではしぼんでしまうから、本当に維持したかったら、新しく空気を入れ続けないといけない。困難を越えることでさらに空気が入り、店が大きくなるイメージです」

 ビクトル氏は、ともに働く人々を「人材」でも「スタッフ」でもなく、「仲間」と呼ぶ。 「きれいごとに聞こえるかもしれないけど、僕にとって仲間は家族です。会社のことも自分のものとは思っていなくて、いろんな困難とみんなで闘い、作り上げているもの。だからこそ、僕は会社を前進させなければいけないんです。仲間がやりがいをもって働きながら、家族を養い、豊かな生活を送れるように」

ガルシア氏が考える経営3か条

ガルシア氏が考える経営3か条

01 顧客満足度と従業員満足度を同時に上げる

02 安泰、安定という考え方を捨て、常に成長していく

03 仕事に誇りをもつ

ネガティブな思いや消去法で独立できるほど飲食業は甘くない

 ガルシア氏の経営哲学、情熱、そして仲間への思い。面接でも、社員・アルバイトにかかわらず、しっかり時間をかけてそれらを伝えるという。 「就職って最終的には、代表者のことを信じられるか、その夢にのるかどうかだと思うんです。特に飲食業は途中で職種を変えるのが難しいし、体力が必要だけど、年とともにそれも落ちていきます。だから飲食をやり続けたいなら、どこかの時点で『人生をともにできる会社』を見つける必要があると思うんです。レシピやサービスを盗むとか、労働条件だけで決めるんじゃなくて、もっと根本的な部分で共感できる会社、自分の未来を見据えられるような会社をね」

 また、自身が並ならぬ思いで闘っているからこそ、「飲食業で生き続ける答えは、必ずしも独立ではない」という。 「独立を夢みる人には、自分がどれだけ大変な業界に参入しようとしているのかを理解してほしいですね。『今の会社が不満だから』、『上司がむかつくから』といったネガティブな思いや、『もっと稼ぐには独立しかない』という消去法で、選んでほしくないんです。そんな思いで続けられるほど、甘くはないから。どうしても独立したいと思うなら、開業するまにでどれだけ準備できているかが重要です。経営実務のこと、お客様や仲間との関係など、すべてにおいて『ぶっつけ本番』はしないでほしいですね」

 そんな茨の道を、ビクトル氏が進み続ける理由は何か。 「僕の心が折れない理由は、夢とロマンがあるから。僕には『日本のスペイン料理界で一番になりたい』、『日本とスペインの架け橋になりたい』など、いろんな夢があります。それが、くじけそうになる心を支えてくれるんです。飲食業界で生きる人には、臆することなく大きな目標や夢、ロマンを掲げてほしいなと思います」

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SAL Y AMOR

住 所:東京都渋谷区代官山町12-19 第3横芝ビルB1

電 話:03-5428-6488

時 間:ランチ 土・日・祝 11:50~15:00 (L.O 14:00)
ディナー 月~金17:30~24:00 (L.O 23:00)
土・日・祝 17:30~23:00 (L.O 22:00)

定休日:なし

交 通:代官山駅より徒歩3分

H P:http://salyamor.com/index.html

文:瀬尾 ゆかり 写真:ボクダ 茂

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