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最終更新日 2018年10月18日

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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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京しずく

亭主 岡田 敬一

周りの人たちに感謝しながら つながりを大事にしていきたい

岡田 敬一(Keiichi Okada)

1976年、茨城県生まれ。15才から料理の世界へ、京都の料亭で10年間修業を積み、京料理組合の認定証を修得する。都内を中心に和食ダイニング等を幅広く経験した後、恵比寿「凹町」の料理長を経て、独立を果たす。2009年5月、「京しずく」をオープン。

2018年10月掲載

しずくの一滴一滴まで 京都の味と想いを届ける

 恵比寿の裏路地、京都の街で見かけるような袋小路の一角に「京しずく」はひっそりと佇む。知る人ぞ知る名店ながら、あえて"京料理"とは冠さない。そこには、「京都よりも京都らしく」という岡田氏の深い想いが込められている。

「"京料理"を謳うには、京都の風景が必要になります。それはできなくても、京の風情が感じられればいいだろうと考えました。『京しずく』とは、しずくの一滴一滴まで味と想いを届けたいという意味。京都の奥行きが伝わるような名前にしました」

 10年間、京都で修業を積んできた岡田氏は生粋の料理人。もともと、実家が寿司店を営んでいたことから、15才の若さで料理の世界へ、第一歩を踏み出した。

「『日本料理を勉強してこい』と言われ料亭に入ったのですが、関東とは文化や風習が違う。言葉の壁にも悩まされました。たとえば『ほかしといて』と早口で言われ、『保存しておいて』と間違えて、ゴミをラップに包んで叱られたこともありました」

 閉鎖的な地域柄に慣れるには時間を要したが、それ以上に多忙すぎる「朝から晩まで料理漬け」の寮生活。「つらいと考える暇もない」日々が続いた。しかし、この下積みの時代こそが揺るぎない礎になっている。

「京都という土地で季節の移り変わりを感じたり、伝統の行事に触れて、感受性が育まれました。お茶やお花を習ったのもこの頃。若いときには眠くなるだけで何のおもしろみも感じられなかったのが、何年も経ってから、その心がまえの大切さを実感するようになりました」

 修業を勤め上げ、戻ってきたときにはすっかり職人として独り立ち。同じ職人である父と折り合いがつくわけもなく、家業の他に道を求めた。都内を中心に複数の店で幅広い経験を積み、料理長を務めるなど、さらに研鑽を深めていった。

人脈を広げるには

とにかく行動あるのみ

 近い将来の独立を見据えて、岡田氏が最後の修業先に選んだのが恵比寿「凹町」。料理長として腕を振るい、人気を集めながらも、独立開業に向けての準備を着実に進めた。

「責任ある立場を務めることは、独立のための重要なステップの1つです。人材教育から原価計算まで、すべて任されていました。その間に、プロモーションして自分の顔を売っておくことも大事。パッと小さな店を出しても、人は集まりません。お客様に喜んでいただき、大勢の顧客がついたことで自信にもなりました。店の認知度を上げて、売上げ目標もクリアした上で、退社しました」

 そのわずか1ヶ月後、同じ街、歩ける距離のところに自分の店を構える。2009年、「京しずく」オープン。32才で念願の独立を果たす。

「戦略的に動いていたので、間を空けずに済んだのです。周りの人の応援や協力にも助けられました」

 ところが、予測できない事態が待ち受けていた。リーマンショックの影響はじわじわと広がり、1日5組限定・完全予約制というスタイルの店は立ち上げから苦戦を強いられる。

「お得意さんに2000枚くらい葉書を送ったのですが、潰れてなくなっていたりで、ほとんど戻ってきました。休まずに働いて、何とかギリギリのラインで営業していました」

 口コミでの評判が徐々に広がり、ようやく安定してきた2年目。今度は、あの大震災が立ちはだかる。

「あのときには知り合いの飲食店も皆、店を閉めました。いよいよお金が尽きて、売上げが下がった店に対する国の救済措置を利用することにしました。救済とはいえ、要は借金です。なので、普通に独立した人の倍はコストがかかっています」

 果たして、そんな厳しい状況をいかに乗り越えられたのか――。岡田氏の答えは明快である。

「どんなときにも、食材の質を落としませんでした。無駄になることもありましたが、冷凍ものなどは一切使わないということを守り通したのが良かったのだと思います。そして、お客様が少ないときでも1組1組大切におもてなししてきたことで、今までやってこれたのでしょう」

 さらにもう1つ、「人とのつながり」。たくさんの人の支えがあってこそと、人脈の重要性を強調する。

 とはいえ、"人脈づくり"なんて自分には無理と思っている人も多いはず。そんな人たちに向けて、岡田氏は率直かつ的確なアドバイスを送る。

「とにかく、行動あるのみです。たとえばこのリンゴは美味しいと思ったら、つくっている人に会いにいけばいい。現地に行って挨拶をして、仕入れれば人脈ができます。『こういう野菜をつくっている人を知りませんか?』と、その人に紹介してもらえば、また人脈が広がります。人は1人きりでは何もできません。見習が1人欠けただけでも、料理の幅が狭まってしまうもの。従業員にも生産者にももちろんお客様にも、周りの人たちに感謝しながら、つながりを大事にしていきたいですね」

岡田氏が考える亭主としての心得

岡田氏が考える亭主としての心得

01 感謝の気持ちを忘れない

02 人のつながりを大切に

03 「商い」は「飽きない」

自分の本当にやりたい 仕事ができるのは幸せなこと

 一流の職人は、経営者としての視点も身につけているもの。岡田氏は株式会社 トリートの代表として、自社製品の和菓子や土鍋の開発、料理教室の開催まで幅広く手がけている。

「これからも食に関わることなら、いろいろ挑戦していきたいと思います。この店を従業員に任せて、新店を出す計画もあります。京のおばんざい的な、もうちょっと軽めで遊び心はあるけれど、技術が光るような店にしたいと考えています」

 実は、出店の場所を既に確保して、店名まで決定済みとのこと。いつでもスタートを切れる状態にあり、次代を担う人材が待たれている。

「お金・時間・仕事、そのすべてを手に入れるのは難しいでしょう。何が重要なのかを考えて、自分が打ち込め、努力できそうな店を選ぶことです。あとは、その店に一度は食べに行ってもらいたいですね。そうすれば、雇う側も雇われる側もお互いに見極められます。こういう料理なんだとわかって、やってみたいと感じたならチャレンジすればいい。自分の本当にやりたい仕事をやれるのは、とても幸せなことだと思います」

京しずく

京しずく

住 所:東京都目黒区三田1-12-25

電 話:03-5721-8139

定休日:不定休

時 間:11:30~13:30(L.O.)/17:30~21:30(L.O.)

交 通:JR/地下鉄各線「恵比寿駅」より徒歩7分

H P:http://www.kyoushizuku.com

文:西田 知子 写真:小野 順平

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