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最終更新日 2018年12月13日

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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ12:52:52

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La Tourelle(ラ トゥーエル)

オーナーシェフ 山本 聖司

重厚感やエレガンスを大切に、フランス料理店らしくあり続けたい。

重厚感やエレガンスを大切に、フランス料理店らしくあり続けたい。

山本 聖司(Seiji Yamamoto)

1975年、福岡県生まれ。名古屋外国語大学フランス語学科卒業後、「銀座 レカン」「ジョージアンクラブ」を経て、都内フランス料理店のシェフに就任。2012年より「ラ トゥーエル」の料理長を務める。2015年6月、同店のオーナーシェフとして独立を果たす。

2018年8月掲載

フランス料理の魅力は構築性 複雑な組み合わせの妙を追求

 厨房に立ち、色とりどりの食材と向き合う山本氏の表情は豊か。和やかに楽しげだったのが不意に引きしまる瞬間、どんな閃きが舞い降りてくるのかと期待させられる。そんなひとときを「素材との戯れ」と呼ぶ、芸術家肌のシェフは言葉も豊かに自分の想いを伝える。

「フランス料理の魅力のひとつは、自由なこと。そして、構築性を備えていることです。複雑な思考の人たちが考え出した料理なので、裏表や二重性があって非常に複雑。料理には必ず背景があり、サイドストーリーが多い。ワインも物語がなければ、ただのぶどう酒に過ぎません。誰かがこれはすごいと限定して認めることで、価値が生まれるもの。そういう人が付加価値を与えている部分も含めて、おもしろいなと感じます」

 昨今、巷に増殖する、とにかく素材重視のレストランとは一線を画す。組み合わせの妙、入り組んだ構成があってこそ、際立つ美味を追求する――まさに"フレンチの求道者"たる山本氏はスタートの地点から、この道を志す他の人々とは少し違っていた。小学生の段階で、シェフとして腕をふるう未来を思い描いていた。

「『オテル・ドゥ・ミクニ』の三國清三氏のテレビ番組を見たのがきっかけです。『フランス料理は食べたことがない』と父親にせがんで、福岡の全日空ホテルへ連れていってもらいました。何を食べたのかも忘れましたが、こういう料理をつくりたいと思ったことは覚えています」

 実家で美容室を営んでいたこともあり、幼少の頃から料理を手伝って好きになっていた少年にとっては、自然な選択だったのかもしれない。その後、名古屋外国語大学フランス語学科に進んだのも、フランス料理を極めるためにまずはフランス語を修得しようと考えてのこと。敢えて遠回りするかのようなルートを選び、人より遅い第一歩を踏み出した。

密度の濃い学びの時間を経て

31才でシェフ、38才で独立

 見習から始まった修業時代、どのような学びを得たのかを山本氏にたずねると、「基本的には独学」という意外な答えが返ってきた。

「もちろん教わったこともありますが、自分で全部勉強して進めるタイプなので。それに、フランス料理は自分で学ぼうという意欲があれば学べる世界です。技術的なことから歴史やレシピまで、ほぼ9割は書物に残されています。徹底的に調べて、本を読み、しっかりと勉強すればできる。やったもん勝ちですよ」

 フランス語が堪能ならではこそ、原書を読むのもお手のもの。学生時代からフランス料理に関する資料を収集したり、独学を進めていたのだとか。とはいえ、ただでさえ時間に追われる修業期間、勉強するための時間を捻出するのは容易なことではないのでは? と問いかけると、またまた、その答えに驚かされた。

「友だちをつくらないことです」

 他の見習の仲間同士が楽しそうに遊んでいるのを尻目にもかけず、山本氏はひとり勉強に励み続けた。「密度の濃い学びの時間」を経て、31才の若さでシェフに就任。目標に掲げていた「30代前半でシェフ」を悠々クリアした後は、いよいよ独立開業に向けて本格的に動き始めた。

「2010年の秋くらいから、バトンタッチする後任のシェフを探したり、出資してくださる人とのお話を進めていました。ところが、そこに3・11の震災が起こったのです」

 順風満帆だったのが、いきなりの頓挫。それでも、元のポジションにしがみつくのではなく、また新しい活躍の場を求めたのが結果的に幸運を招き寄せることになったのだろう。

「神楽坂のレストランでシェフを探していると聞き、オーナーに独立の準備を進めていたのが震災でこうなったと伝えたところ、自分は60才での引退を予定しているとのこと。あと3年なので、そのまま店を買い取っていいという話になりました」

 それが現在の「ラ トゥーエル」。料理長を3年間務めた後、2015年6月、山本氏は晴れて40才でオーナーシェフとして独立を果たす。

「長く続けていくことを第一に考えれば、ロケットスタートは必要ないと思いました。コンセプチュアルな店にはしたくない。レストランなので、料理、ワイン、サービスという実の部分で勝負しています。あとは、ホームページを充実させたり、メディア媒体の露出を意識するようにしました。時間はかかりましたが、『食べログ』等の評価も高くなり、売上げはずっと右肩上がりです」

山本氏が考えるオーナーシェフとしての心得

山本氏が考えるオーナーシェフとしての心得

01 仕事を趣味の延長だと捉える

02 学ぶ姿勢を持ち続ける

03 人・モノ・お金にやさしく厳しく

モチベーションを保つために仕事のおもしろさを発見しよう

 これからも、山本氏が目指すのは「フランス料理らしいフランス料理店」。料理はもちろんサービスや内装に至るまで、こだわり続けている。

「トレンドに乗った軽いテイストの料理にはしたくないと思っています。内装はダークな色を基調にして、テーブルにはクロスをかける。接客では礼儀をわきまえ、きちんとした振る舞いでサービスを提供する。敷居が高すぎない、時代に即した形でありながらも、重厚感やエレガンスを大切にしていきたいですね」

 理想の店づくりのためにも、店舗の拡張移転を視野に入れている。ただし、それには優れた人材を安定的に確保することが課題になる。

「明確な目標がなければ続けるのが難しい仕事。モチベーションの高い、独立志望の方が望ましいのですが。独立するには、オーナーが毎日いる街場の店を経験することです。できるだけ早いうちに実務的な技術を身につけたほうがいい。小さな店ならではの食材のロスを減らすアレンジの仕方も教えますし、独立の資金調達の方法などメディアには出てこない話も伝えたいと思っています」

 最後に自分自身の体験も踏まえ、フランス料理の未来を担う人々へ、山本氏はメッセージを送ってくれた。

「いくら好きな仕事でも、現実の厳しさが好きという気持ちを上回ることもたくさんあります。モチベーションを切らさないために、自分から深みにはまってほしい。勉強して、フランス料理の奥深さを見出すことです。現実のつらさを覚悟しつつも、そのつらさに負けないよう仕事のおもしろさを自分で発見しましょう」

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La Tourelle(ラ トゥーエル)

住 所:東京都新宿区神楽坂6-8

電 話:03-3267-2120

時 間:11:30~14:30(L.O.13:00)
18:30~22:30(L.O.20:00)

定休日:月曜日・第3火曜日

交 通:地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩5分

H P:http://www.tourelle.jp

文:西田 知子 写真:ボクダ 茂

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