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ジローレストランシステム 株式会社
代表取締役社長 佐藤 治彦
『本物を知り、学ぶ』ことで
『本物を提供する店』を作っていく
佐藤 治彦
– Sato Haruhiko –
1961年、大分県出身。明治大学農学部卒業後、小田急電鉄株式会社に入社。グリーン事業に約16年従事後、同営業推進部を経て、グループ会社であるジローレストランシステム 株式会社に出向。現在は代表取締役社長を務める。イタリアンを中心とした飲食店(直営店100店舗、FC17店舗)を運営(2020年4月末日現在)。
2020年4月掲載
とにかく、現場が好き。従業員の声を常にキャッチする
イタリアの本格的なピザが食べられると人気の「PIZZARIA LA VALLE di TOKYO」。運営するのは小田急電鉄グループの飲食企業、ジローレストランシステム株式会社だ。同社はイタリアンを中心としたリストランテやトラットリア、ピッツェリア、カフェなど40以上のブランドを、首都圏を中心に展開している。
店舗数が100を超えるにもかかわらず、代表取締役社長の佐藤治彦氏は根っからの〝現場好き〟だ。33年前、小田急電鉄に入社。半年ほど駅員として働き、その後グリーン事業部に配属された後も、店頭で接客し、フラワーアレンジメントを作ったりもした。それらの一つひとつを、「楽しかったし、やりがいを感じていた」と振り返る。
念願だった飲食事業への出向は、会社への猛烈なアピールで勝ち取った。新しい店舗には必ず足を運び、レポートを提出。出向後も最初は店舗に立ち、オーダーをとりながら現場を学んでいった。代表取締役である現在も、日々店舗をまわって従業員とコミュニケーションをとり、可能な時は自ら現場に顔を出す。従業員のあいだで「気さくな社長」として親しまれている。
佐藤氏はこれまで、同社にさまざまな変革をもたらしてきた。たとえば、従業員の声を反映しやすい組織にするため、定期的に「談話会」を開催。そこであがった意見は、活かせるものはすぐに反映する。また、試験制度を導入し、昇格の基準を明確にした。
服装の自由化も、変革の一つだ。従来、出勤時・勤務中はスーツにネクタイが基本だったが、現場で従業員とコミュニケーションを重ねるなかで「服装は自由にしたい」という意見が多かったことから、「服装自由、髭もOK」へと切り替えた。
「もちろん、お客様に失礼のないよう身だしなみは整えてもらった上での話ですが、基本的には自由です。店舗の雰囲気にマッチした格好で、かつ素敵だったりおしゃれだったりしたら尚いいですね。僕は立場上いろいろな会社の方にお会いしないといけないのでスーツでいることも多いですが、それ以外の時はジーンズなどカジュアルな格好で仕事をしています」
トップダウンよりボトムアップが店の『面白さ』を生む
佐藤氏が変革したなかでもっとも大きなものが、店舗の作り方だ。従来、新規店舗は営業推進部で企画され、従業員に伝えられるトップダウン型で作られていた。しかし現在は、実際に現場で働く従業員の意見を多々とりいれながら、一から一緒にお店を作りあげている。
「店の内装や、どんなメニューにどんな材料を使うか、どんなピザの窯を入れるかなど、基本的には従業員が一から考えて店を作っていきます。会社としての責任やコンプライアンスの点からチェック・調整は必要ですが、基本的には従業員主導で店づくりを行っていくわけです。業態を作っていく過程をボトムアップ型にする必要性は、社長に就任したときから感じていました」
佐藤氏はなぜ、ボトムアップの必要性を感じたのだろうか。
「飲食店ってトップダウン型のところが多いんです。特に社長がデザイナーも兼ねていたりすると、細部まで一人でしっかりと決めていくことが多い。でもそのやり方だと自分の思いを従業員に100パーセント伝えることが難しく、店の『面白さ』という部分で、社長と従業員のあいだに食い違いが生まれてしまうように思います。働き手の立場になってみると『やらされ感』で仕事するより、自分の意思で動いたほうが楽しく、やりがいがありますよね。僕は、店の『面白さ』はそんなところから生まれるんじゃないかなと思うんです。そんな考えから、僕には『従業員にとってやりがいをもって働ける会社にしたい』という思いがあったので、社員とコミュニケーションをとりながら、よりよい店のありかたを一緒に探して、実行していった感じですね。なにより、この会社には一生懸命技術を身につけようと努力する方や、自己啓発に熱心な方がたくさんいらっしゃいます。ボトムアップが可能なのは、そんな土台があるからだと思います」
『本物』を知っているからこそ
『本物』を作ることができる
「勉強熱心な方が多い」と、誇らしげに語る佐藤氏。同社には、従業員のやりがいを支え、後押しする仕組みも用意されている。
その一つが、新卒採用の社員を対象とした「お披露目会」だ。就労一年後に同社が運営する会場に家族を招待する。自分自身の成長を家族に感じてもらうと同時に、充実した職場であると伝え、安心してもらう大事な機会だ。
また、社員・アルバイトの隔たりなく行われる調理およびサービスの「コンテスト」も、従業員のモチベーションを刺激している。
もっとも特筆すべき制度は、従業員が誰でも志願、参加できるイタリア研修制度だ。参加者1人につき誰でも1人同伴者を連れていくことができ、旅費の半分を会社が負担する。
「『本物の料理を提供する』ことは、当社の理念の一つです。研修では、本場の味と調理を学び、そこで得た知識を店づくりに活かしてもらっています。たとえば、ピザ生地。当社では従来、ピザ生地に使う粉は複数の製粉会社に発注していました。それでも十分美味しかったのですが、本場ナポリにいくと、ナポリピザを作るために一番適した粉があることがわかります。それを現地で学んだ社員が『この粉を、ぜひ取り入れたいんです』と言ったことがきっかけで、我々はその粉を採用するようになりました。ちなみに、ナポリでは百年以上歴史のあるピッツェリア(Pizzeria)は、真ん中のeの表記がaになってピッツァリア(Pizzaria )と呼ばれている。だから当店も『Pizzaria』なんです。ある社員のこだわりから生まれた、わかる人にはわかること…こうした『面白さ』が生まれるのも、ボトムアップ型ならではですね」
今後も複数の新規店舗を予定しているが、今年度中には同社でもっとも高い価格帯の都心型店舗がオープンする予定だ。この大きなプロジェクトにぜひ参加してほしいと、佐藤氏は呼びかける。
「私たちは、高い調理技術をお持ちの方はもちろん、将来的に技術を身につけたいという方や、ゆくゆくは独立したいという夢をお持ちの方にも、うってつけの環境を提供できると思っています。実際に、独立する方もいらっしゃいますよ。僕らは寂しいけれど、『何かあったら戻って来いよ』という言葉をエールに添えて、気持ちよく送り出しています。そして実際、戻ってきてくださる方も多い。それも、この会社を好きでいてくれるからこそと自負しています(笑)」
Pizzaria La Valle di TOKYO(取材店舗)
ジローレストランシステム 株式会社
─ 店舗情報 ─
PIZZARIA LA VALLE di TOKYO
住 所:東京都渋谷区渋谷1-10-1 八千代ビル2F
電 話:03-6452-6680
A16 TOKYO
住 所:東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア1F
電 話:03-3212-5215
マキャベリ 新宿店
住 所:東京都新宿区西新宿1-1-3 小田急百貨店新宿店本館13F
電 話:03-3345-8735
イル バロッコ 有楽町店
住 所:東京都千代田区有楽町2-1-16
電 話:03-3508-7781
パレルモ 赤坂店
住 所:東京都港区赤坂3-10-4 月世界ビル1F
電 話:03-3582-9345
上記含め、現在109店舗展開中
文:瀬尾 ゆかり 写真:ボクダ 茂
2020年04月16日 掲載
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