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株式会社 FOOD LIBRARY
代表取締役 兼 CEO 難波 耕太郎
もっとアドレナリンを出そう!
必死の人はカッコいい
難波 耕太郎
– Kotaro Nanba –
1977年、埼玉県生まれ。2002年4月、株式会社 オペレーションファクトリーに入社。店長としてさまざまな業態の店舗の立ち上げを経験し、後に統括部長を務める。2014年6月、独立して「R Kitchen bistro&diner」をオープン。2014年11月、株式会社 FOOD LIBRARYを設立。現在、東京・湾岸エリアに5店舗を展開中。
2019年10月掲載
急速な発展を遂げる湾岸エリアにドミナント戦略で5店舗を展開
目前に迫った”東京2020″に向けて、大きく様変わりする湾岸エリア。急速に発展を遂げる街の勢いさながら、株式会社 FOOD LIBRARYは創業5年で5店舗を展開。月島・勝どきに、「天ぷら酒場」「肉イタリアン」「大衆バル」「ビストロ」「スパニッシュ」と多岐にわたる業態を手がけてきた。代表の難波氏は急成長の裏側を語る。
「以前、働いていた銀座に近いので勝どきに住み始めたのですが、当時は飲食店が全くなかったんですよ。高層マンションが次々と建って、店も増え、街が移り変わる様子を見てきました。現在の中央区の人口は銀座や日本橋も含めて17万人足らずですが、この地域だけで7万3000世帯。半数の人たちが住んでいます。オリンピックの後に、晴海の選手村の跡地は住宅として利用されることもわかっています。確実にインフラが整い、確実に人口が増加していく、それだけの需要が見込めるエリアなんです」
近未来を見据えた上で、ドミナント戦略を推進。多業態を運営する理由も、そこにある。
「1軒おいた隣の隣に立地する店舗もあります。互いにお客様を奪い合うことのないように、マルチブランド戦略をとっています。今日はビストロ、次の日は天ぷらにしようと、その日の気分や予算によって使い分けられるので、お客様からも好評です」
限定されたエリア内の集中出店だからこそ、効率の良いPRも可能になる。意外なくらい、アナログな手法が集客につながっている。
「ウェブ広告もやっていますが、私たちは地域密着型ですから、折り込みチラシを配っています。チラシに反響がないのは、1回でやめてしまうから。2ヶ月に1回くらいのペースで続けると、『また入っていたね』と、それを見たお客様がいらっしゃいます。この店は5周年でシャンパンが半額になりますとか、ウェブとは違ったコアな情報を届けられる。チラシはお客様へのラブレターだと思っているんですよ」
喜んでいただくのは大前提 ずっと通ってもらえる店にしたい
飲食の仕事はほぼ未経験だった難波氏が、この世界に飛び込んだのは25才のとき。オーガナイザーを志望し、㈱オペレーションファクトリーに入社したものの、配属になったのは飲食店。高級業態からお好み焼き店まで、多様な現場を担当することになった。
「先輩にいろいろ教えてもらって、食の楽しさを知りました。なぜ美味しいのか、材料は何を使っているのかと、どんどん興味が湧いてきました。店長になると、その店では社長のように自由に任せてもらえます。このプランでどれだけお客様を呼べるだろうかと、今度は戦略を練るのが楽しくなってきました29ヶ月連続で昨対を超えたり、不振店の売上を向上させたり、社内でも評価されるようになりました」
新店の立ち上げにも数多く携わり、統括部長を務めるまでに。「教科書のように徹底的に学ぶ」経験を積んだ。 「自分が勉強して模範になることで、直轄のユニットが変わっていきました。協調する力がついたのだと思います。組織は大きくなればなるほど人間関係に悩むものですが、そこを乗り越えるには相手と向き合うこと。どんなに罵倒されても向き合って誠心誠意話せば、必ず歩み寄れる。傷つくのを怖がっていてはダメだとわかりました」 濃密な12年間を過ごし、数々の学びを得て、36才で独立。2014年、自信を持って1号店となる「R Kitchen bistro&diner」をオープンする。
「今ではお肉を豪快に盛り付ける”肉盛り”は普通のメニューになりましたが、5年前はあまり見かけなかったので、思った以上の反響がありました。ただ、満席になり、お客様をお待たせすることが多くなっていって……。『待たせすぎだ。いくら美味しくても、こんなの商売にならないだろう!』とお客様に怒鳴られてしまいました。それを機に、こなせない数を入れるのはやめようと決めました。商売は儲けるだけではなく、お客様に喜んでいただくことが大前提。流行りの店ではなく、お客様がずっと通ってくれる長く続く店をつくりたいと考えたからです。なので、こなせる数のお客様だけ入れるようにしました。結果的には、これが功を奏し、”いつも入れない店”と評判になり、口コミで広がっていったのです」
お客様の満足を第一に考える難波氏の姿勢が受け入れられたのだろう。以後、客足は途絶えることなく、毎年1店舗のペースで出店し、事業拡大を続けている。
「今では社員が増え、社員の家族のことも考えるようになりました。彼らの給与や賞与を上げていくには、利益を確保し続けなければならない。会社をどう成長させるかというビジョンをしっかり描いています。毎月の会議では社員全員と数字を共有し、戦略を話し合います。採用面接では、事業計画書を見てもらいます。こういう組織をつくりたいから、こんな能力を身につけてほしいという話をして、それに共感してもらえた人だけを採用しています」
オリンピック後に照準を定めて
目標は食を軸とした15事業に拡大
東京オリンピックの後、2022年に難波氏は照準を定めている。ゴールに向けて、着実にそしてスピーディに、前へ前へと進んでいる。
「選手村が住宅になり、交通網が整備され、商業施設や病院ができて、新しい街が生まれる2022年。そこから逆算して、事業領域を広げていきたいと考えています。デリバリーやテイクアウトも始めましたし、来期に出店するための物件も今、探しているところです。飲食を軸として、食のコンサルなど15事業を目標にしています」
企業ケータリングでは、既に実績を上げている。アパレル関係を中心に、有名ブランドのプレスパーティなどのイベントを企画・運営。若いスタッフには、その華やかなステージに憧れて入社する人も少なくないのだとか。
「ようやく、指示を出せるような人材が育ちつつあります。次の課題はまとめ役となる人を育てることです」
すべての店が近いため、みんな集って食事を楽しんだり、チームの結束は固い。日曜休日統一で土曜の営業後ともなれば、難波氏は仲間とワイワイやりながら、ときには愚痴の聞き役になり、ときには熱くビジョンを語って、励ましの言葉を送り続ける。
「ワーキングハイではないけれど、もっと必死になってもっとアドレナリンを出そう! と伝えたいですね。ここには自分のやりたいことを追求し、打ち込める環境があります。スピード感もあるので、ちゃんとそれに乗っかってもらいたい。必死になれば、プライドなんて要らない。何かやらなければという気持ちで止まっていられなくなり、もがく力がつきます。必死の人はカッコいいじゃないですか」
月島 R Kitchen bistro&diner(取材店舗)
株式会社 FOOD LIBRARY
─ 店舗情報 ─
月島 R Kitchen bistro&diner
住 所:東京都中央区月島3-15-5
電 話:03-3533-3331
月島 天ぷら酒場@rkitchen
住 所:東京都中央区月島3-8-7
電 話:050-5596-6179
大衆バル レモキチ R kitchen
住 所:東京都中央区勝どき2-12-9
電 話:03-3520-9997
勝どき R Kitchen Spanish&Garlic
住 所:東京都中央区勝どき3-5-6
電 話:050-5592-1539
勝どき肉食イタリアン酒場 Rkitchen
住 所:東京都中央区勝どき3-5-6 102
電 話:050-5594-3491
現在5店舗展開中
文:西田 知子 写真:ボクダ 茂
2019年09月27日 掲載
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