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株式会社 ウインドウ
代表取締役社長 臼井 大士
店にはみんなの想いが詰まっている。
ブランドの名をより広めていきたい。
臼井 大士 – Hiroshi Usui –
1977年、大阪府出身。大学卒業後、「なか卯」でアルバイトを始める。5年ほど勤務した後、生命保険会社に転職。1年半後、飲食の経営支援サービスを手がける株式会社 リンク・ワンへ。同社の民事再生時に、株式会社 ウインドウに転籍。2017年5月、代表取締役社長に就任する。現在、都内を中心に3業態6店舗を展開中。
安定した経営基盤に支えられ 業績好調な3業態6店舗を展開
今や、初夏の風物詩となったAKB48選抜総選挙。取材に訪れた「わっはっはっ風月」渋谷店では、それになぞらえた”焼きそば総選挙”が絶賛開催中だった。間もなく、投票の結果が発表される予定だ。代表を務める臼井氏は笑顔で背景を語る。
「”押しメン”と”麺”をかけたキャンペーンです。上位1位から3位までに選ばれたメニューに関しては、特別感謝価格でご提供します。春には、”パンまつり”にかけて”鉄パンまつり”も行いました。どれも現場のスタッフが企画したものですが、けっこうギリギリの線ですよね(笑)」
都内を中心に鉄板焼をはじめ、海鮮居酒屋、スープカレーの3業態6店舗を展開。キャンペーンの企画から運用、メニュー開発など、すべての店で現場に裁量権が与えられている。スタッフがのびのびと自分の個性や能力を発揮できる環境がある。
一方、母体となる親会社は東証2部上場のインターネット関連企業。安定した経営基盤に支えられ、業績を順調に伸ばし続けている。
「多少の失敗ではビクともしない基盤があるので、いろいろなことにチャレンジしやすいと思います。親会社のネットワークで、物件情報も豊富に入手できます。都内だけに限らず全国に、個人的には出身地の大阪や以前に店長として働いていた名古屋にも出したいですね。いずれは、海外への出店も視野に入れています」
社長就任から1年が経過。いよいよ次のステップへ、臼井氏は踏み出そうとしている。
従業員のストレスを1つでも減らしたいというのがモットー
昨年5月、代表取締役社長の重責を担うことになった臼井氏には眠れない日々が続いていた。
「まさか私が…というのが、正直な気持ちでした。親会社の方が社長になるものだとばかり思い込んでいましたから。本当に自分でいいのか、自分に何ができるのか、この先、会社をどうしていけばいいのだろうかと、考えれば考えるほどわからなくなり、寝つけないような状況でした」
まずは、従業員に就任のあいさつ。というより、スタッフ1人ひとりに協力を請わなければと考えた。
「みんなの生活を背負うことになるので、裏切るようなことはしたくない。模索しながらになるとは思うけれど、ついてきてもらいたいと伝えました。それまで管理本部の本部長としてマネジメントに携わっていましたから、スタッフのほうは肩書きが変わるのかなくらいの受け止め方でしたね」
仕事の内容自体もそう大きくは変わらない。第一に、これまで進めてきた労働環境の改善に取り組んだ。
「働き方改革が声高に叫ばれる時代、この業界はとくに労働環境が良くないと言われています。従業員のストレスを1つでも減らしたいというのが私のモットー。具体的には休日を増やしたり、給与体系のグレーゾーンをなくして明確化しました」
臼井氏が労働環境の整備に力を注ぐのは他でもない。自分自身、ハードワークが原因で異業種に転職した経験があるからだ。生命保険会社に1年半勤務。結局、大好きなサービスの仕事への想いを断ち切れず、飲食事業の経営支援サービスを手がけるリンク・ワンへ。しかし、入社時にはすでに下降線をたどっていた。
「『わっはっはっ風月』の新宿店で店長をしていたのですが、少しでも働きやすい環境をつくるために、店内のモノの配置を変えたり、整理整頓したり。お金がなくても、自分たちで何とかしようとしていました」
実は、その後、民事再生の道をたどることになったリンク・ワンから譲り受けたのが現在の主力3業態。主要なスタッフが1人2人と抜けていく中、マネージャーとして最後まで現場で働いた臼井氏は雇用の受け皿となったウインドウに転籍。結果的に3つのブランドを守り抜き存続させて、抜てき人事を受けることになった。
「最近、リンク・ワンのOB会に出席すると、先にやめていった人たちから感謝されるんです。『まだ、店をやっていてくれたんだね』と。そういう話を聞くと、やっぱり店を残していかなければと感じます。都内で10年以上持ちこたえる店はそうそうありませんが、13年、14年と長く続けてきた店がほとんどですから」
経営的な観点から新宿店はやむなく閉店したが、中にはわざわざ渋谷店まで足を運ぶ常連の方も。今も現場に立つ機会が多い臼井氏の顔を見つけては懐かしがり、喜ばれているという。
「みんなの想いが詰まっている店です。だからこそ、今の店をただ維持し続けるのではなく、さらに拡大したい。ブランドの名をもっと広めていきたいと考えています」
まだ未完成な会社だからこそ
自分のイメージを形にできる
現在もなお、臼井氏は模索中。自らを振り返り、これでいいのかと自問自答を繰り返し続けている。
「スタッフのおかげで数字はつくってもらっていますが、もっと良くできるのではと考えてみたり、答えはそんなに簡単に見つけられません。この先も、100点満点とはなかなかいかないんじゃないでしょうか。ただ、フリーターだった自分が1店長からスタートして、ここまで上りつめることができた。夢を与えられているのではないかと思います。人脈も広がりましたし、こうしてインタビューを受けるのも新しい仕事。私の体験をみんなに知ってもらいたいですね」
働きやすい環境を整えた後は、次なる課題。人材育成にも乗り出した。
「今期より、外部講師を招いての勉強会をスタートしました。これまで、それぞれの店が単体でいかに利益を残すかということだけに力を入れて、会社としての組織づくりができていませんでした。寄せ集めではなく1つにまとまり、つながりをつくっていくためにも、可能な限り、社員が交流する機会を増やしていきたいと思っています」
お客様に支持される店づくりからスケールアップ。会社としての基盤を整備し、さらに強固な組織づくりへ。そのためにも今、新しい人材の力が求められている。
「いずれの店も地元のみなさんに愛されていますが、それを受け継いでくれる世代が少ないという現状です。今あるブランドを拡大するのはもちろんですが、新業態も開発したいと考えています。こういうことをやってみたいという自分のイメージをここで形にしてもらいたい。できあがっていない未完成の会社だからこそ、チャレンジできる場はたくさんあります。単に店を増やすための1ワーカーではなく、一緒に会社をつくるメンバー。そういう想いを持った人たちと出会いたいですね。みんなで新しい目標を見つけ、力を合わせてがんばりましょう」
【取材店舗】わっはっはっ風月 渋谷店
株式会社 ウインドウ
─ 店舗情報 ─
大阪鶴橋お好み焼き 「わっはっはっ風月」 渋谷店
住 所:東京都渋谷区渋谷1-15-19 二葉ビル3F
電 話:03-5766-3139
カレー食堂「心」 下北沢店
住 所:東京都世田谷区北沢2-34-8 KMビル1F
電 話:03-5452-3561
カレー食堂「心」 さいたま新都心店
住 所:埼玉県さいたま市中央区新都心10 けやき広場1F
電 話:048-600-0080
カレー食堂「心」 ヨドバシAkiba店
住 所:東京都千代田区神田花岡町1-1 ヨドバシAkiba8F
電 話:03-3525-4886
地魚屋台「浜ちゃん」 渋谷店
住 所:東京都渋谷区渋谷3-10-14 長崎堂ビル1F
電 話:03-5464-0799
地魚屋台「浜ちゃん」 上野店
住 所:東京都台東区上野6-9-13
電 話:03-5807-8413
現在6店舗展開中
文:西田 知子 写真:ボクダ茂
2018年07月05日 掲載
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