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株式会社 JAKEN
代表取締役 川上 宏光
お客様がまた来たくなる店として、
選んでいただける自信があります。
川上 宏光
– Hiromitsu Kawakami –
1975年、広島県生まれ。学生時代、レストランでアルバイトした経験から食に関わる仕事を志望し、大学卒業後、大手食肉メーカーに就職。6年間、営業の仕事に携わる。その後、飲食店経営のノウハウを学ぶため、1年半のレストランバー勤務を経て独立。2005年10月、「JAKEN」1号店を池袋にオープン。現在、3店舗を展開中。
大手食肉会社の営業マンから転身 強みが活きる鉄板ダイナーを開業
店名の「JAKEN」が物語るように、代表取締役の川上氏は広島県出身。大学進学に際して上京し、池袋・西武百貨店内の中華レストランでアルバイトをしたことが、今に結びつく1つの分岐点となった。
「3年半キッチンを担当し、鍋のフォローができるくらいになってました。アルバイトといえども料理長から厳しく指導していただき、料理の奥深さに気づかされました。自分自身にとっては大学で学んだ以上に、そこで学んだことの方が大きかったと思います」
卒業後、食に関わる仕事に就きたいと考えて、大手食肉メーカーに就職。営業マンとして活躍する。何度も表彰を受けるような優秀な成績を収める一方、独立への想いが募っていった。
「会社を辞めて池袋に戻り、知人のレストランバーの手伝いを始めました。独立を視野に入れ、経営者になるための予行演習をさせていただきました」
飲食店経営のノウハウを身につけた川上氏は、開業に向けて「自分に何ができるのか」とキャリアの強みを棚卸し。熟慮を重ねた末、”鉄板焼き”という答えを導き出した。
「鉄板焼きはメインがステーキです。私は和牛を仕入れて、百貨店やスーパーに売る仕事をしていたので、その仕入れルートを持っていました。問屋を通さず、大手と同じ値段で買い付けができたのです。その上、広島出身ですから、美味しいお好み焼きを誰よりも知っています。店を立ち上げるのなら、鉄板焼きだと決めました」
黒毛和牛のステーキと広島流お好み焼きを提供する鉄板ダイナーという店のコンセプトが固まった。あとは営業マン時代の取引先である精肉店から肉のプロフェッショナルを招き入れた。
2005年10月、川上氏が第二の故郷と呼ぶホームタウン、池袋に1号店をオープンする。
揺るぎない体制で着実に進化 恵比寿、新宿と3店舗を展開
同じ食に関わる仕事とはいえ異業種からの転身。本格的な飲食店勤務の経験も浅かった川上氏だが、数々の幸運に恵まれ、立ち上げ時の集客にもそれほど苦労しなかったという。
「人気雑誌でたまたま池袋の特集が組まれ、ニューオープンの店として紹介されたのが大きかったと思います。レストランバーで働いていたときのお客様にもいらしてもらいましたし、池袋を選んだ甲斐がありました」
さらにラッキーだったのは人材確保の面でも。オープンから約2ヶ月で、スタッフの体制が一気に充実した。
「ウェブ広告を出したのですが、それで店の存在を知った人が『スタッフ募集していませんか?』と電話をかけてきてくれたのです。『勤めていた鉄板焼き店がつぶれて鉄板焼きを続けられる店を探していた』ということでした。年末までほぼ休みなしでがんばってきて、そろそろ見直さなくてはと考えていた矢先です。面接でステーキを焼いてもらい、そのレベルの高い技術にも驚かされました。今では、彼は統括マネージャーとして活躍しています」
営業のプロフェッショナル”と自負する川上氏。肉のプロフェッショナルと新たにステーキのプロフェッショナルも加わり、3人のプロによる揺るぎない体制が完成。次なる目標に向けて、視界が広がっていった。
「3年以内にもう1店舗という目標をギリギリで達成できました。『どうして池袋の次が恵比寿なの?』とよく聞かれるのですが、初めから池袋だけに収まるつもりはありません。やはり、B級グルメの街というイメージが強いですよね。料理がお好み焼きから高級食材を使った鉄板焼きにシフトしたり、ワインにも力を入れたりと、店自体のクオリティもどんどん上がってきていましたし、美食の街である恵比寿で勝負しようと考えました。ただ、池袋をもっと良く思われたいという気持ちはあるんです。今も本店は池袋ですし、池袋だって捨てたもんじゃないだろうと言いたいですね(笑)」
恵比寿店をオープンした2008年はリーマンショックが起こった年。最大のピンチの際にも、既に人気店へと成長を遂げていた池袋本店の支えがあったからこそ乗り切れた。
その後、恵比寿店は地下に移転して団体客にも対応できる1・5倍の広さに。常に予約でいっぱいの池袋本店も2階に増築し、席数を増やして対応。着実に進化を続けてきた。昨年7月には、かねてより出店を図っていた新宿に3店舗目をオープンさせた。
“JAKENブランド”を確立して
新たなフィールドを切り開く
続々と出店を進める中、川上氏はさらなる展開を見据え現状を分析する。
「昔は鉄板焼きといえば、ホテルのレストランかお好み焼き屋という両極端なジャンルでした。15年前くらいに2、3万円でも2、3000円でもない、中間価格帯の店が生まれました。最近では、それがより安い店と高級店に分化してきています。ミドルクラスの最上位にある当店にはホテルのロケーションのような付加価値はありませんが、サービスに力を入れています。ホテルに負けない食材を用いて、リーズナブルに提供しています。また来たくなる店として、選んでいただける自信があります」
次のステップに進むためにも、スタッフ全員の底上げが必要になる。一方、定着率は抜群に高い。社員の約半数は5年以上勤務している。
「月1回のミーティングに、週1回は飲みに行くなど、コミュニケーションを大切に、何でもストレートに話し合っています。会社が目に見えて成長しているので報奨金をボーナスにプラスしたり休暇制度も変更しました。働きやすい環境に変化してきたのを感じてくれているのではないでしょうか」
飲食出身ではない川上氏だからこそ改革に着手できるのだろう。志願する人を少しでも増やしたいと、この仕事の魅力を力強くアピールする。
「どんな業界でも顧客が限定されますが、飲食にはそれがありません。オープンキッチンでプロ野球選手や芸能人とも会話できます。普通なら言葉も交わせないような大企業の社長から握手を求められたり、『ありがとう』と感謝されることもあるんですよ。いろいろな業界の人の話を聞くことは、自分にとって大きな財産になるはずです」
ともに成長する仲間たちのために、川上氏は新たなフィールドを切り拓き続ける。1人ひとりが持てる力を存分に発揮できる”JAKENブランド”の確立を目指している。
「ゆくゆくはブランディングして鉄板ビストロ『JAKEN』、お好み焼き『JAKEN』を立ち上げたいと考えています。今は『いらっしゃいませ』とお客様をお迎えしていますが、お好み焼き屋で『へい、らっしゃい!』とやっている方が自分の性にも合っているんじゃないかな。スタッフの皆にも、自分の個性を活かせるところが選べるようにしていきたいですね」
【取材店舗】JAKEN恵比寿店
株式会社 JAKEN
─ 店舗情報 ─
鉄板Diner JAKEN 池袋本店
住 所:東京都豊島区南池袋3-15-11 内田ビル1F/2F
電 話:03-3981-1777
鉄板Diner JAKEN 恵比寿店
住 所:東京都渋谷区恵比寿西1-30-9 パサージュ代官山B1F
電 話:03-3477-7888
鉄板Diner JAKEN 新宿店
住 所:東京都新宿区新宿3-9-9 新宿ワタセイ・タマビルB2F
電 話:03-3354-6888
現在、3店舗展開中
文:西田 知子 写真:yama
2017年11月02日 掲載
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