企業Top・経営陣に聞く経営ポリシー&見つめるビジョン
株式会社 韓流村
代表取締役社長 任和彬
グローバル企業を目指して
一緒に成長しながら
ともに世界へ羽ばたこう
任和彬
– Fabin Im –
1971年、大阪府生まれ。ソウル大学卒業。米国ペンシルベニア州立大学・ウォートン校にてMBA取得。その後、世界最大級の資産運用会社「キャピタル・グループ」に就職し、アナリスト・ファンドマネジャーを務める。2009年10月、株式会社韓流村を設立し、「KollaBo」第1号店をオープン。現在、33店舗を展開中。昨年8月、コリアンカフェ「クムコーヒー」をオープン。
2022年10月掲載
老舗有名店15店舗とコラボ
韓国グルメブームの先陣を切る
その名の通り、韓流村が運営する「KollaBo」は韓国の老舗有名店とコラボしたレストラン。「Korea×Collaboration」に由来する。首都圏を中心として名古屋や関西エリアにも進出し、現在、全国33店舗を展開。代表の任和彬氏は、今や第3次とも第4次ともいわれる韓国グルメブームの先陣を切り拓いてきた。
「韓国を代表する料理の達人たちから、それぞれのレストランの暖簾とノウハウを伝授していただきました。レシピはもちろん、秘伝のタレやソース、場合によっては完成品を直送してもらって、本場の料理をそのまま再現しています。よくある横丁やフードコートのように多店舗が提携するのとは異なり、1人のシェフがそれぞれの店の伝統の味を受け継ぎ、すべての料理を提供するという革新的なシステムです」
わざわざ韓国まで渡らなくても、15の老舗専門店の料理が一気に楽しめる。一躍人気店へと成長を遂げた一番の理由はここにある。さらには、コスパに優れた納得の価格設定で老若男女、幅広い層の人々から支持を集めてきた。
「ランチなら1000円くらい、ディナーでも3500円から4000
円くらいの設定です。オフィス街にも住宅地にも出店していますが、家族連れからカップル、サラリーマンの接待まで、いろいろな場面で満遍なく皆さまに楽しんでいただけるでしょう。企業努力を重ねて、美味しい料理を手ごろなお値段で提供しています」
世界に通用する韓国料理の
グローバルブランドを創る
世界最大級の資産運用会社で活躍していた任氏が、全く畑違いのレストランを手がけることになったのは2009年のこと。アナリストとして多くの企業家たちと交流する中で、自分もチャレンジしてみたいという想いを抱いたのが始まりだった。
「自分で描いたビジョンのもとに夢を追いかけ、会社を設立し、その会社が大きく成長していく姿を見ながら、いつか私も挑戦したいと思いました。その頃、ちょうど韓国の映画やドラマ、K-POPなど様々なコンテンツが世界を席巻するようになっていました。ただ、韓国料理にはスターバックスやマクドナルドのような世界のどこに行ってもあるレストランチェーンが存在しません。日本料理も同じですが、それだけグローバルブランドになるのは難しいこと。だからこそ、全世界にある韓国レストランのグローバルブランドを創りたいと考えたのです。創業時から、『韓国料理を世界に広める』という理念を掲げました」
世界市場で勝てるブランドとなるために、編み出した戦略が現在、実践しているコラボレーション。チェーン展開が成り立つビジネスモデルを構築した。
「韓国の複数の老舗と提携してそれぞれの店の料理を1つの場所に集めることができれば、消費者からすれば何を食べても美味しく、本場の味が楽しめます。しかも、多店舗展開しても高いレベルの料理を提供できるだろうと考えました。そこで、まずは老舗有名店のオーナーを説得することから始めました。初めのうちは、『なんであなたに教えるの?』と門前払いです。彼らは既に韓国で成功している人たちなので、お金では絶対に動きません。何回も何回もお願いに行きました。最後は、自分の志を伝えられるか。私は今までこのように生きてきた人間で、こういう夢を持っていますと話して、世界に通用するグローバルブランドを創るためにどうか力を貸してくださいと頼みました。すると、彼らの心が動いたのです。3店舗からのスタートでした」
2つの国の良さが溶け込んだ
“日韓のコラボ”でさらに発展
ヤマダ電機の山田昇会長から直接勧められるという幸運に恵まれ、第1号店を「LABI1日本総本店
池袋」のレストランフロアに出店。それだけではない、アサヒビールやキリンビール、伊藤園、日本ハムなど数々の大手企業の協力を得て、華々しく開業した。
「ただ、私は経営者や金融関係の方とのお付き合いはありますが、飲食に関しては全くの素人でした。スタッフも未経験者だらけで導線の設計もなければ、オペレーションもめちゃくちゃ。メニューの看板さえ用意していませんでした。お祝いの胡蝶蘭がずらりと並ぶ真っ黒でシックな店は、いかにも敷居が高そうに見えたのでしょう。他のどの店も満席状態なのに、『KollaBo』は閑古鳥が鳴いていました。注文した料理がなかなか出てこなかったり、お客様にこぼしたり、ベーシックなミスを散々しました。お客様に何度も呼びだされ、10回は土下座をしたでしょうか。もしも路面店だったら、すぐにつぶれていたと思います。それでも、やっていけたのはヤマダ電機自体が爆発していたからです。当時、日本のテレビがデジタル化され、買い替えのために多くの人々がヤマダ電機に押し寄せていました。だから、あんな下手な運営でも月2000万円の売上げを上げられたのです」
その後、試行錯誤を繰り返しながらオペレーション改善に取り組み、運営のベースを固めた。2年後には赤坂、3年後には銀座と、順調に店舗数を拡大して成長を遂げていく。
「なんとしても成功したいという志だけはありました。お客様をもてなす心、お客様のためにという気持ちだけは誰にも負けません。その上、料理の達人たちのレシピですから、たとえ80点の出来でもすごく美味しくなるんですよ。それには本当に救われました」
さらに、韓国レストランにはない空間設計や質の高い接客サービスなど日本ならではの良さを取り込んでいった。任氏の表現を借りれば“日韓のコラボ”である。
「掘りごたつや個室の造りなどもそうですし、日本は換気の技術レベルが高いので、そういうところも取り入れています。また、日本料理は素材へのこだわりがとても強いですよね。そのこだわりを取り入れて、たとえばスンブドゥチゲなどは名古屋の豆腐屋さんから豆乳をいただき、店舗内で自家製の豆腐を作っています。今では、達人の彼らも『この料理は日本のほうが美味しい』と認めてくれるまでなりました」
日本と韓国、両国のいいとこ取りをして溶け込ませ、アメリカでMBAを取得した任氏がグローバルな視点を持って経営を司る。揺るぎない成功は約束されていたかのようだ。
「食べログ」裁判に勝訴
勇気を持って声を上げよう
2019年、ある出来事が局面を一変させた。韓流村は巨大グルメサイト「食べログ」と全面対決することになった。その顛末を任氏は次のように語る。
「ある朝、『食べログ』を見ると、店を評価する点数が一斉に大きく下げられていました。お客様がネガティブな口コミを書いたのかと確認しましたが、そういうわけでもありません。チェーン店だからと下げられたのです。そこから、『食べログ』経由のページビューが7割減り、売上げが2割落ちました」
翌年5月には、サイトを運営するカカクコムを提訴。今年6月、2年にわたる裁判の判決がいよいよ下された。韓流村は勝訴。カカクコムは3840万円の賠償を命じられた。
「独占禁止法違反と裁判で認定されたにも関わらず、『食べログ』は今も不当に点数を下げ続けています。のみならず、チェーン店ディスカウントをますます加速させています。情報操作されたランキングで消費者も飲食店も被害を受けているのです。チェーン店のオーナーの皆さんは被害に対して勇気を持って声をあげてください。本来正しいランキングであれば行くであろうお店を選べない消費者の人たちも正しい評価ができるように声を上げてもらいたいと思います」
自分の価値を高めよう
社長になりたい人募集!
現在、飲食業界を志す人たちとっても「食べログ」裁判の行方には無関心でいられないはずだ。任氏はその危険性を指摘する。
「飲食の世界で働く方たちには将来、自分の店を持ちたいという夢を持っている人が多いですよね。1店舗成功したら多店舗化しようと考えている方も少なくないのでは。そうした努力を巨大なIT企業によるランキングの情報操作が台無しにしてしまうかもしれません。皆さんにも、ノーという勇気を持ってもらいたいと思います」
一方で、また異なる夢を描くことを提案。仲間になって、ともに世界へと羽ばたく夢を実現しようと呼びかける。
「グローバルブランドを創るという夢を一緒に目指しませんか。私たちを素晴らしい企業のオーナーの皆さんが力を貸して、応援してくださっています。働く仲間たちは多国籍で、年齢や性別などによる差別は一切ありません。自分の能力を存分に発揮しながら、会社とともに成長できます。レストランで働くのは肉体的にも精神的にもきついことが多いですが、そういう仕事だけではありません。自分の価値を上げ、年収を上げて、経営に関わっていくこともできます。『アメリカのカントリーマネジャーになりたい!』『中国に何百店舗もつくります!』『私はヨーロッパ!』というような人たちを歓迎します。そして、最後はそういう能力のある人が必ずバトンをもらえる公平公正な会社です。グローバル企業の社長になりたいと思う人にどんどん来ていただきたいですね」
KollaBo 大手町店(取材店舗)
株式会社 韓流村
─ 店舗情報 ─
KollaBo 新宿ルミネエスト店
住 所:東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿8F
電 話:03-6380-1030
KollaBo 二子玉川店
住 所:東京都世田谷区玉川2-23-1 Dogwood Plaza 8F
電 話:03-6805-7223
KollaBo みなとみらい店
住 所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-5-1 MARK IS みなとみらい4F
電 話:045-264-9493
KollaBo 池袋店
住 所:東京都豊島区池袋1-5-7 ヤマダ電機LABI日本総本店池袋7F
電 話:03-5944-9211
現在、上記含め33店舗展開中
文:西田知子 写真:吉川 綾子
2022年10月27日 掲載
関連記事
カテゴリー
- 海外店舗を運営する飲食企業 (12)
- 2~5店舗を運営する飲食企業 (36)
- 6~10店舗を運営する飲食企業 (39)
- 11~30店舗を運営する飲食企業 (52)
- 31~50店舗を運営する飲食企業 (15)
- 51~100店舗を運営する飲食企業 (18)
- 101店舗以上を運営する企業 (9)
- 和食 (81)
- 居酒屋 (99)
- 中華料理 (19)
- 焼鳥・鳥料理 (34)
- ホテル・旅館 (10)
- ラーメン (19)
- 焼肉・肉料理 (50)
- ステーキ・鉄板焼 (27)
- バル (54)
- うどん・蕎麦 (15)
- イタリアン (80)
- スペイン料理 (14)
- アジアン・エスニック (8)
- BAR (25)
- 専門店(各国料理) (17)
- 惣菜・DELI・仕出し・弁当 (6)
- 精肉・鮮魚 (4)
- その他 (17)
- カフェ (42)
- 日本料理・懐石 (26)
- フレンチ (33)
- パティスリー・製菓 (15)
- 寿司 (30)
- ウエディング (7)
- ベーカリー・製パン (13)
- 洋食・西洋料理 (59)