予約の無断キャンセル、理不尽なクレーム、器物破損等々…
お客との様々なトラブルに対し 「泣き寝入りする必要はない」、
「お客と店は平等」を掲げ、様々な依頼に取り組み続ける
飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
飲食店の無断キャンセルは請求できる?
ドタキャンには全額請求! 泣き寝入りはいけません!
第1回のテーマは、この連載のタイトルにもなっている「ドタキャン」についてです。
以前、新宿歌舞伎町のダイニングバーから「40人のコース料理予約を無断キャンセルされてしまいました…」という相談を受けました。 聞くと、3480円のコース料理ということで、40人分で約14万円の損害、さらにお店を貸切りにしていたとのことで、かなり悪質なケースです。 予約当日、先方と全く連絡が取れず、深夜になって初めて「携帯をなくして連絡が取れなかった」という苦しい言い訳。明らかな嘘に店のオーナーは憤慨し、私に相談してきたというわけです。
最近はネットを通じた予約が増えていますが、一方で悪質な無断キャンセルが増えているという声が聞かれます。
キャンセル問題で重要なのは、「予防」と「回収」です。予防に関して言えば、まずは、お店側でしっかりとキャンセル料の規定(キャンセルポリシー)を作っておくことです。内容はお店によって様々ですが、キャンセルポリシーがあること自体が重要です。これは、最終的にお客に請求せざるを得なくなった際にも必要です。
最近では予約時の確認ショートメール、予約前日にリマインド(確認)ショートメールなどを送信してくれる予約管理システムもありますので、効率的に機械を使うのもいいでしょう。色々と予約しているうちに、どの店に予約したか忘れてしまったというお客もいるので、ある程度の効果は見込めます。貸切りの大きな予約については、やはりデポジット(保証金・前金)をもらっておくことをお勧めします。後の請求まで考えると、住所や勤務先までは難しいとしても、せめて「団体名」を聞いておくのは必要でしょう。
そして、実際にキャンセルが発生した場合、回収をしっかりと行う必要があります。後の風評を心配なさる方もおられますが、お店側が泣き寝入りする必要は全くありません。泣き寝入りが新たな被害を生むのです。先方にキャンセル料が発生することをはっきりと伝え、キャンセルポリシーに表記している全額を請求します。もし、交渉された場合、「半額請求」や「飲み放題分の減額」などの落としどころもありえますが、基本的には全額請求です。
どうしても支払わない、また、そもそも電話に出ないという場合には、弁護士などの専門家に頼まざるを得ません。最近では、私が運営する「キャンセル料回収代行サービス」を含め、完全成功報酬でキャンセル料の請求を請け負う弁護士も増えています。弁護士であれば、予約時に聞いた携帯電話番号から契約者の氏名や住所などを調査することができます。
損害額が少額の場合、どこまで手続きを行うべきか悩ましいところではありますが、大きな予約キャンセルで多額の損害が生じた場合には、実際に裁判までいくこともあります。今回のケースでは、店のオーナーの怒りが収まらずに実際に裁判までやることになりました。
予約を受け付ける飲食店において「キャンセル問題」は、すぐそこにあるトラブルです。まずは予防、そして毅然とした対応を心がけましょう。
2020年04月16日 掲載
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飲食店の日々のトラブルを弁護士が解決!

飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
E-mail:ishizaki@foodlaw.jp URL:http://food-lawyer.net TEL:03-4540-6513 FAX:03-6850-8643