予約の無断キャンセル、理不尽なクレーム、器物破損等々…
お客との様々なトラブルに対し 「泣き寝入りする必要はない」、
「お客と店は平等」を掲げ、様々な依頼に取り組み続ける
飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
ガスボンベ爆発事件について
即、実刑となる可能性があります。
今回は、「ガスボンベの爆発事件」についてです。
兵庫県伊丹市のお好み焼き店で、カセットコンロ用のガスボンベが爆発し、食事をしていた女性が意識不明の重体となり、その後、死亡しました。大変痛ましい事件です。
報道によれば、女性が座っていたのは、鉄板が敷かれたテーブル席で、お好み焼きを食べた後、店側にカセットコンロをのせてもらって焼き肉を食べていたところ、ボンベが爆発したとみられています。
細かい状況は不明ですが、加熱した鉄板の近くにコンロを置くというのは、にわかには信じられません。加熱すれば爆発する可能性があるのは一般常識ですし、それを店側がやったとなれば、「業務上過失致死罪」に問われる可能性も十分にあると思いますし、過失の程度が大きいとなれば、死亡事故ということに照らしても即、実刑となる可能性も否定できません。また、民事上の話もあります。遺族から死亡による損害賠償請求を受けるでしょう。損害保険に加入していれば、保険金で賄われるかもしれません。もちろん、本件では細かい事情が分かっていません。お店としては何かしら注意を促していたかもしれません。ただ、鉄板の上にコンロを乗せたのはお店側のようです。コンロの消し忘れや、鉄板が完全に冷める前にガスコンロを置いてしまった等の事情があったとしても、お店の責任は免れないでしょう。そのくらい、「鉄板の上にガスコンロを置く」という行為自体の危険性は無視できないと思います。
一般的な話として、焼肉店や鍋料理店は、お客さんが自分で調理する過程があります。お店としては、お客さんが常識的な範囲で調理器具を使うと考えるでしょうが、お店はお客さんがどのような人か審査できません。通常では考えられないような考え方をするお客さんが来店することも想定して、危険性のある調理器具を使わせる場合には、スタッフの目の届くところで使用させるようにしましょう。
2022年12月15日 掲載
関連記事
飲食店の転職求人情報を探す

飲食店の日々のトラブルを弁護士が解決!

飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
E-mail:ishizaki@foodlaw.jp URL:http://food-lawyer.net TEL:03-4540-6513 FAX:03-6850-8643