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飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
食べログで現在とは異なる口コミが残っている!
ガイドライン上では、過去の投稿について削除するルールはありません
今回は、「食べログで古い口コミが残っている場合」についてです。
飲食店口コミサイト関連で一番多いご相談は、「事実と異なる書き込みをされた」という種類のものです。食べログは規模が大きくなるにつれて、口コミの取り扱いについて整理を続けており、現在では、ガイドラインが提示されています。読めばわかりますが、口コミに対し、お店側が文句を言いたい場合、ほとんどがどれかに該当します。以前は一件ごとに食べログに報告し、事細かい説明が必要でしたが、ガイドラインができたことにより、「ガイドラインのこの項目に該当する可能性がある」「投稿人と事実関係について争う意向である」といった形でしっかりと説明すれば、大抵の場合、早期に公開停止になる印象があります。それだけ食べログも、飲食業界のインフラになったということでしょうか。
このような事実と異なる争いがある場合は比較的解決しやすいのですが、難しいのは、過去の口コミに現在とは異なる事実が残ってしまっている場合です。食べログの場合、営業時間やメニューなどの店舗情報に関し、現在と異なる情報が残っている場合は店側の申請で修正することができますが、口コミで「ホールスタッフが一人で非常にストレスを感じた」、「メニュー表の写真と実際の料理が違った」等、現在は既に改善されている事であっても、口コミ当時には事実であった場合や、現在は存在しない料理・改装前の店舗画像が掲載されている場合です。
この件は過去、実際に裁判で争われたケースがあります。メニューや外観を変えたにも関わらず、当時の画像が食べログに残ってしまっているケースで、お店は食べログ側に当該写真の削除を求めましたが、拒否されてしまいました。それであればということで、店の情報全体の削除を求めて裁判を起こしたのです。食べログ側は、当時の書き込みとしては正しく、最新の情報ではない旨、注意書きもしていると主張しました。実際、食べログには「この口コミは、●●さん(投稿者)が来店した当時の主観的なご意見・ご感想です。最新の情報とは異なる可能性がありますのでお店にご確認ください。」と書かれています。
この裁判の結末は、食べログが店の情報を削除し、お店は訴訟を取り下げるという内容で和解しました。なので、もし判決になった場合どうなるかわかりません。ただ、この裁判は2010年頃の案件なので、当時と比べて投稿ルールがしっかりとできている現在では、あまり個別対応しないのではないかと思われます。ガイドライン上では、過去の投稿について削除するルールはありませんし、投稿当時の真実であれば、基本的にそのまま掲載が続くのではないかと考えています。ただ、あまりに昔で、業種や業態が全く違うものであれば、店への影響も無視できません。その場合は現状を食べログ側に伝え、昔の情報としてもふさわしくないことをしっかり主張すべきでしょう。早期の対応とすれば、お店側で文字情報としてメニューやアピールポイントを掲載するとともに写真も最新のものを投稿すればお客側としても間違えにくくなると思います。
2022年05月26日 掲載
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飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
E-mail:ishizaki@foodlaw.jp URL:http://food-lawyer.net TEL:03-4540-6513 FAX:03-6850-8643