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飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
時短・休業に対する協力金を不正受給するとどうなる?
嘘の申請は「詐欺罪」に問われます。
今回のテーマは、「協力金の不正受給」についてです。
新型コロナウイルス感染予防対策として、飲食店に要請されている営業時間の短縮や酒類の提供制限に伴い、各自治体から支給される協力金。
最近では、協力金支給の遅れや、資金繰りの限界により、やむを得ず要請に従わず通常営業を始める飲食店が増えてきました。もちろん、それらのお店は、自ら協力金不支給の選択をしているわけですが、中には要請を守っていないにもかかわらず、協力金を申請するお店があります。単に要件を欠いていただけであれば不支給で終わるのですが、それが故意であれば、詐欺罪に問われることがあります。
実際に、都内のBAR経営者が、協力金84万円を騙し取ったとして逮捕されました。 警視庁によると、朝まで営業し、酒を提供していたにもかかわらず、「酒は提供していない」などと、嘘の申請をしていたようです。
単なる不支給と、刑事事件として立件される場合の線引きは現時点で不明ですが、やはり、朝まで営業していたり、酒を提供しているにもかかわらず、協力金を申請すると、悪質だと評価されるでしょう。(いわゆる闇営業ですね)。
協力金の申請時には、時短要請に応じていること、酒を提供していないことを宣誓させられますし、書類には「不正受給の場合、受給額の倍額を返還しなければならない」とも書かれています。
一番ネックなのは、朝まで営業していた、酒を提供していたかの立証なのですが、最近では、定期的に自治体の職員が繁華街を見て回っています。また、一般の方からの情報提供があった場合は必ず訪問するという話もあります。
前述の逮捕された事件では、経営者が、別件で家宅捜索を受けるなど、警察が目を付けていたようですので、おそらく、内偵調査なども行い、警察の方で証拠化していたものと思われます。
いずれにせよ、協力金の支給が遅れる中で、闇営業をしたくなる気持ちは分かります。しかし、これはれっきとした犯罪となります。協力金の早期支給を求める事にとどめ、不正受給は絶対にやめましょう。
2021年07月15日 掲載
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飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
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