予約の無断キャンセル、理不尽なクレーム、器物破損等々…
お客との様々なトラブルに対し 「泣き寝入りする必要はない」、
「お客と店は平等」を掲げ、様々な依頼に取り組み続ける
飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
緊急事態期間中にお客が持ち込むお酒はOK?
「酒類の持ち込み」も禁止です。
三度目の緊急事態宣言で、飲食店経営者は「またか・・・」というお気持ちだと思います。これまでも飲食店は特別の負担を強いられてきましたが、特に、今回の緊急事態宣言では、「酒類」を提供する飲食店が「休業要請対象」となっています(酒類を提供しない店は午後8時までの時短要請)。
コロナ禍に突入してから1年以上経過しているのにも関わらず、未だに有効な対策を打てず、科学的根拠のない飲食店への「自粛要請」しかしない国や自治体に対して、飲食店は限界に達しています。私のクライアントの中には、全店通常営業に踏み切ったところがあります。休業要請の対象は、「社会生活の維持に必要なものを除く」とされており、「うちの店は社会にとって必要なものだ」と主張しているわけです。もちろん、国や自治体のコメントを見ても、なかなか認められないというのは分かってのことだとは思いますが、それだけギリギリの状況ということでしょう。このような営業の強行ではなくとも、「グレーゾーン」を突けないか模索しているお店も多いようです。例えば、お店から酒類は提供しないものの、「お客の持ち込み」を認めるという方法です。もちろん、これは難しい話で、国や自治体がすぐに「酒類の提供には、場の提供も含む」とアナウンスすることになりました。また、酒を並べて置いて、『これは売り物ではありません。飲まれた場合、罰金として500円いただきます』と張り紙をしておくというお店もあり、ここまでいくと“とんち比べ”ですが、これも提供とほぼ同視できるでしょう。
一番難しいのは、お店が提供も持ち込みも禁止しているにもかかわらず、お客がお酒を勝手に持ち込んでいるパターンです。隠れて飲まれてしまえば、お店としては防ぎようがありませんから、これはやむを得ない(酒類の提供には当たらない)ものと思われます。ただし、机の上に瓶が置いてあるとか、強い酒臭がするといった、明らかに酒類を持ち込んでいるような状況であれば、お店としては注意、または退店を求めるほかないと思います。
2021年05月20日 掲載
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飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
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