予約の無断キャンセル、理不尽なクレーム、器物破損等々…
お客との様々なトラブルに対し 「泣き寝入りする必要はない」、
「お客と店は平等」を掲げ、様々な依頼に取り組み続ける
飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
都市部から来たお客の「入店お断り」は違法でしょうか?
敵はコロナです。誠意を持って対応しましょう。
今回のテーマは、「県外からの来店お断り」です。
相変わらず、収まる気配のないコロナ騒動ですが、地域差も顕著になってきました。
都市部とそれ以外の地域で、感染者数が露骨に異なっています。そうなると、感染者の少ない地域に住む方は、都市部に住む方との接触をできるだけ少なくしたいと考えるのも当然です。
実際、「GoToトラベル適用制限」は地域間の移動を制限することで、感染を封じ込めるためのものといえます。
そんな中、都市部以外の飲食店で「県外からの来店お断り」というルールを作ったところもあります。「咳をしている、熱がある」といった症状もなく、単に「県外からの来店者」という理由だけで入店許否をしてもいいものなのでしょうか。実際、入店拒否されたお客から「差別だ!」といった声も聞かれるようです。
結論から言えば、県外からの来店であることだけを理由に入店をお断りしても、「違法」とは言えません。法的にお店とお客は「対等な契約当事者」ですから、お客がどの店で何を食べるか自由に選べるように、お店も、誰に何を売っても自由ということになります。極端に言えば、「なんとなくこのお客は気に入らない」という理由で入店を拒否しても、法的には問題ないのです。逆に、入店させておきながら、お客の会話で「県外からのお客」であることが分かり、その場で退店を求めるのは難しいと思います。
もちろん、「入店お断り」は誠意を持って対応しなければなりません。店員の対応が悪く、店前でお客と口論となり、「あなたは県外から来たからコロナにかかっている可能性があるじゃないか!」などと根拠なく吹聴すれば、「名誉棄損」などで不法行為責任を負う場合があります。
2020年12月03日 掲載
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飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
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