予約の無断キャンセル、理不尽なクレーム、器物破損等々…
お客との様々なトラブルに対し 「泣き寝入りする必要はない」、
「お客と店は平等」を掲げ、様々な依頼に取り組み続ける
飲食店専門弁護士の第一人者、石﨑冬貴の実録連載!
ポイントの不正取得は詐欺行為になり得ます。
あらゆるケースを想定し、お店独自のルールを決めましょう。
今回のテーマは、「Go To Eatキャンペーンの悪用問題」です。
新型コロナウイルスで大打撃を受けた飲食業界の再興を目的とした、政府の経済政策キャンペーン「Go To Eat」。10月から始まったこのキャンペーンですが、始まってすぐに問題が表面化してきました。お客は指定のグルメサイトを通じて予約すれば支払い金額にかかわらず、固定(ランチ500円分、ディナー1000円分)のポイントが付与される仕組みのため、お店で最も安い料理を1品のみ注文し、ポイントを荒稼ぎするというものです。すぐに対策が施され、ポイント以上の注文をした場合に限り、ポイントが付与されることになりましたが、元から分かっていたことだと厳しく非難されています。
そんな中、悪質な事件が起きました。一人で予約したにもかかわらず、ポイント欲しさに「10人で来たことにしてくれ」と店に求め、断ると「ネットで悪く書いてやる」と脅迫まがいの言葉を吐き捨て帰ったものの、数時間後に再度一人で予約し来店。お店側が入店を断ると、いざこざになり、警察を呼ぶ羽目になったとのことでした。
・・・本当にあきれるばかりですが、この問題を法的に見てみましょう。
まず、来店したのが1人であるのに10人で予約したことにして10人分のポイントを取得すれば、これは国に対する詐欺行為になり得ます。お店側がこれに協力すれば、お店側も共犯です。ただ、1人で何度も来店し、その度にポイントを取得することや、1回1000円分のみを注文しポイントを満額もらっても、これは制度上問題ありません。例えばキャンペーン開始当初のルールでは10円分だけを注文しても、ポイントが満額付与されていましたが、これは制度上の欠陥であって、違法ではないということになります。
今回の件では、協力しないお店に対し、誹謗中傷するような言動もありましたが、これは強要罪に当たる可能性があります。
このような迷惑な客は入店を拒否することができますので店側の対応は正しかったといえるでしょう。Go To Eatキャンペーンは、うまく使わないとお店が必ずしも潤わない制度になっています。それぞれの業態や客単価に合わせ、「コースのみ」、「一定額以上の利用のみ」、「1人客は適用しない」等、お店独自のルールを決めていくことが必要と言えるでしょう。
2020年11月05日 掲載
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飲食店の日々のトラブルを弁護士が解決!

飲食店専門弁護士 石﨑 冬貴(Ishizaki Fuyuki)
1984年生まれ。東京都出身。東京弁護士会所属。
一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。日本料飲外国人雇用協会理事。
賃貸借契約から、労務問題、風評被害、漏水まで、飲食店の法務を専門的に取り扱う弁護士の第一人者。
法律事務所フードロイヤーズ〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2東宝日比谷ビル9階
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