旨みがしっかりとしみこんだ豆腐に思わずごはんが進む。

　恵比寿界隈ではそう見かけない、旬のおいしいものをお腹いっぱい食べられる定食のお店が「なかよし」。創業35年、手づくりの温かみが伝わる料理の数々は、多くの人々に長く愛され続けてきた。「奇をてらった創作料理などではなく、毎日食べても食べ飽きない、誰もが知っている料理を提供しています」と、代表の洲之内氏は語る。

　メニューは唐揚げや肉じゃが、焼き魚と、誰もが慣れ親しんだ家庭料理でありながら、味はどれも本格派。思わず目移りしそうだが、寒い季節にオーダーが急増するのは、やはりあったかな煮物。中でも、「肉豆腐定食」は一番人気を集めている。

　調理の秘訣は圧力鍋にアリ。霜降りした牛肉と水切りした豆腐を、秘伝の割下と出汁、香味野菜を加えて煮込む。「鍋の蓋を閉める前に、味をぴたりと決めなければなりません。一発勝負です」と、料理長の柴田氏は表情を引き締める

　肉は柔らか、豆腐は中まで旨みがしっかりとしみこんでいる。出汁をきかせた上品なやさしい味わいで、生姜のさわやかな風味がアクセントを添える。さらには、土鍋で丁寧に炊き上げたごはんは、うれしい食べ放題。女性でも、がっつり平らげる人が多いというのもうなずける。ついついおかわりしたくなるような、いくらでもごはんが進む絶品だ。