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狸穴坂 ほの香 店主 篠崎 孝志求人・狸穴坂 ほの香 店主 篠崎 孝志転職情報 グルメキャリー

独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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狸穴坂 ほの香

店主 篠崎 孝志

自分の中に美味しさを判断するしっかりとした軸を持とう

篠崎 孝志(Takashi Shinozaki)

1963年、東京都生まれ。服部栄養専門学校を卒業後、20数年、和食一筋に日本料理店・割烹などで修業を積む。2003年3月、独立を果たして麻布十番に「狸穴坂 ほの香」を構える。16年目を迎えた今も、知る人ぞ知る食通の集う店して人気を博している。


2019年10月掲載

麻布・狸穴坂の地に16年食通が集う正統派の和食店

 かつて古狸が住むほら穴があったのだとか、麻布・狸穴坂――夜な夜な、美食家たちはその隠れ家に集い合う。「ほの香」という店名には、ほのぼのと楽しんでいただきたいという篠崎氏の想いが込められている。供される料理は、天然の素材をシンプルに活かした和食。日本料理の素晴らしさ、奥深さをしみじみと堪能させてくれるものばかりだ。

「お刺身や焼き魚、スタンダードな和食が中心です。好きなものを好きなだけ楽しんでいただけるアラカルトがメインなので、常連のお客様にはいつも決まって同じものばかり注文される方もいらっしゃいます。内心、他にもたくさんメニューがあるのになと感じますけれどね(笑)。接待に利用される方も多いので、小難しい料理は出しません。会話の邪魔をしない、食べてすぐ美味しいとわかるような料理を心がけています」

 カウンターもテーブル席もゆったり広々。お客様との距離が近いオープンキッチンのある店内は、いつもたくさんの笑顔が飛び交っている。

「お客様をパッと見た瞬間、年配の方か若い方なのかに合わせて、量を加減したり、味付けを変えたりしています。その場で瞬時に判断できるのが、こういう店の利点ですよね。昔から和食の料理人は調理場に引っ込んで、つくる側の都合ばかり考えがちでした。料理には自分の考えもある程度は必要ですが、自分の想いだけをつぎ込んでも喜んでいただけるとは限りません。お客様の立場になって考えることが一番大切です」

 この地に店を構えて16年。篠崎氏の言葉の端々からは、多くの人々に愛され続ける店づくりの秘けつがうかがわれる。

価格ではなく価値で勝負する

スタイルで着実に顧客を獲得

 高校卒業後、篠崎氏は調理師学校に進学。早くからこの道を志していたかのようだが、実は「友達が進むから自分も」という動機で飲食の世界に一歩を踏み出した。

「働き始めてみると、やっぱりこの仕事は嫌いじゃないなと感じました。和食の修業は厳しいとよく言われますが、どううまく立ち回れるか。たとえば、先輩が隣で叱られているのを見て、ああいうふうにしなければいいんだと学びました。自分は叱られずに済んでいたので、きついと思ったことはありません」

 とはいえ、時代はバブル期。ときには、迷いが生じることもあった。

「同世代の人間がボーナス100万円とか、みんなきらびやかな世界で踊りまくっているような時代です。自分には関係ない、なんか違うなとは感じました。それでも、賄いでもつくって美味しいと褒められるとすごくうれしいし、そんな日々の延長線上に今がある気がしています」

 その後も和食一筋に歩み、経験を重ねて、料理長を任されるように。しかし、道を極めれば極めるほど、満たされない想いが募っていった。

「経営者と考えが合わず、あれっ!? と思うようなことがあっても、雇われている立場ですから従わなければなりません。どこの店に移っても、不満を抱くのは同じ。自分のやりたいようにやるには、独立しかないと考えるようになりました」

 店舗物件探しや資金の準備に2年近くを要し、2003年3月、ようやく独立開業にこぎ着けた。

「普通にオープンすれば、それなりにお客様は来るだろうと高をくくっていたのですが、昼間、店の前を歩いている人は全くいない。リサーチ不足でした。そこで、ランチをやめて、夜だけの営業に集中しました。すると、いろいろな雑誌がちょうど創刊して、お店が紹介されるようになったのです。でも、いっせいに来られるとバタバタになり、かえって悪い印象を持たれるのでは、と気になってきました。そんなとき、あるお客様から『客数を減らして客単価を上げたほうがいい』とアドバイスをいただきました。良い食材を使って単価を上げ、席を減らして、ゆとりをもたせました。これでダメだったら、仕方がないくらいの気持ちでした」

 こうして価格ではなく価値で勝負する現在の「ほの香」のスタイルが完成する。以後、リーマン・ショック、大震災などの危機的な状況も乗り越え、お客様からお客様へと着実に評判は広がっていった。

野口氏が考える店主としての心得

篠崎氏が考える店主としての心得

01 いつも笑顔で接客

02 相手の立場になって考える

03 厳しい中にも笑いありの職場環境をつくる

お客様とのふれあいを大切にカウンターに立ち続けたい

 今日も、篠崎氏はお客様とのふれあいを無上の喜びとして、カウンターに立っている。

「この仕事をしていなければ絶対接しないような方からいろいろな話をうかがったり、仲良くしていただいています。多種多様な方が来られるので、そんな世界もあるんだと驚かされることもありますが、みなさん、この店に合ったキャラ。うちのお客様は見かけは近寄りがたいようでも、やさしい人が多いんです」

 これからも、ここに立ち続けることが目標と穏やかな笑みを浮かべる。ただ、目下の課題はスタッフが不足していること。現状では、お客様と言葉を交わす時間も減ってきている。

「もうちょっと、お客様とゆっくり落ち着いて話がしたいですね。年令的なことを考えても、50代後半になりましたし、スタッフの充実が一番の課題です。できるなら今、5才の娘が大きくなるまで、自分がこうして立っている姿を見せたいと思っているんですけれどね」

 だからといって、誰彼となく採用するわけではない。飲食の世界には、向き不向きが厳然として存在する。厳しいようだが心底、相手のことを思ってこそ、篠崎氏の言葉からは本物のやさしさが伝わってきた。

「なんとなく料理人ならできるだろうと、入ってくる人も多い。賄いをつくるのも楽しくなさそうだったり、中には美味しいかどうかを気にしない人もいます。料理が好きなのは基本。教わった通りにコピーするだけでは意味がありません。いかに、独自のものをつくり出せるか。そのためには味覚を育てる、美味しさを判断できるようになることが大事です。そうすれば、その味覚に合ったお客様が根付いてくれる。将来、独立することもできるでしょう。まずは、自分の中にしっかりとしたぶれない軸を持ってもらいたいですね」

狸穴坂 ほの香

住 所:東京都港区東麻布3-2-1 狸穴ARCビルB1F

電 話:03-3588-1212

時 間:月~金・祝前日/18:00~24:00 土曜日/18:00~23:00

定休日:日曜日・祝日

交 通:各線「麻布十番駅」徒歩5分

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文:西田 知子 写真:小野 順平

2019年10月16日 掲載

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