独立希望者必見!CEOの熱いメッセージ
CROSSOM MORITA
六花界グループCEO 森田 隼人
圧倒的な「食の経験」を、大切なお客様に届けたい
森田 隼人(Hayato Morita)
近畿大学理工学部を卒業後、建築関連の会社に就職し、その後建築デザイン事務所などを設立するほか、プロボクサーとしても活躍。2009年に「六花界」を、その後「初花一家」「吟花」「五色桜」「CROSSOM MORITA」をオープン。
2017年11月掲載
「まわりの人を喜ばせたい」すべてはその思いから始まった
「日本一テレビに出ている焼肉屋」ともいわれる、立ち食い焼肉店「六花界」。ほかでは食べられない上質の肉と厳選された日本酒を、わずか2・2坪の店舗で、客どうし肩を寄せ合いながら楽しく味わう――このまったく新しい焼肉店の形を生み出したのは、建築家そしてプロボクサーでもある森田隼人氏だ。
大阪から上京し、建築の仕事をしながらプロボクサーとして活動していた森田氏。そんな彼が焼肉店を作ったきっかけは、所属ジムの宮田博行会長の一言だった。
「あるとき『お前のパンチ弱いな。ちゃんと飯食ってるのか?』と聞かれたんですが、実は当時お金がなくて、あまり食べていなかったんです。すると会長は、それから1ヶ月ものあいだ、僕を夕食に連れて行ってくださいました。毎回レストランで食べきれないほど注文し、残った分は包んで持ち帰らせてくださって…僕は、涙が出るくらい嬉しかった。だから『なんとしても恩返ししたい』と思ったんですが、会長は『そう思うなら、俺じゃなく、まわりの人に返していけ』と仰ったんです」
どうすれば、自分はまわりの人を喜ばせられるのか。考えた末、森田氏は飲食業へ目を向けた。 「僕らボクサーにとって、ごちそうといえば焼肉。だから、安くて美味しい焼肉屋を作れば、まわりのみんなに喜んでもらえるだろうと思ったんです」
しかし「安くて美味しい焼肉屋」の実現は、想像以上に困難だった。新鮮な肉を安く手に入れるには、中卸や小売を通さず、食肉業者と直接取引する必要がある。しかし何のツテもない森田氏は、食肉市場の門をくぐることすらできなかった。 「毎日菓子折りを持って、食肉市場に通いました。はじめは文字通り門前払いだったけど、しだいに守衛さんと話をするようになり、最終的には僕を中へ通してくださったんです」
次の課題は、飲み物だった。狭い店舗にはビールサーバーを置く場所もなかったが、これは、かねてから焼肉との相性のよさを感じていた日本酒を扱うことで解決した。こうして、独自のスタイルをもつ焼肉店「六花界」が誕生したのだ。
会員制の店を続ける理由は
「おもてなし」と「命への礼儀」
「六花界」はたちまち反響を呼び、連日大盛況となった。すると、常連のお客様が入れなくなるという事態が生じた。そこで森田氏は、焼肉店「初花一家」をスタート。住所等は非公開の会員制でありながら瞬く間に評判が知れ渡り、「日本一予約がとれない焼肉屋」と呼ばれるようになった。森田氏はその後も、会員制の店舗展開を続けた。
「会員制にしているのは、六花界を応援し続けてくださるお客様をおもてなしするためです。六花界をコップ、水をお客様だとすると、お水が満タンになりあふれてしまったので別のコップをご用意したということですね。もうひとつの理由は、食材のロスを出さないよう、事前に人数を把握しておくためです。僕らは肉を冷凍しませんが、それは本当に美味しいものを提供するためであり、僕らがいただく〝命〟に対する礼儀でもあります」
各店舗では、それぞれ違ったスタイルで焼肉を提供する。「初花一家」は、座席を設け、その前で肉のもっとも美味しい食べ方をライブのように展開する「劇場型焼肉」。今年オープンした「クロッサム モリタ」は、日本初「プロジェクションマッピングと食の融合」だ。
こうしたスタイルは話題づくりのためではなく、〝経験の喜び〟を提供するためにある。「僕は、僕の料理を楽しみにしてくださる方全員に、一生の記憶に残る経験を提供したいんです。たとえば、プロジェクションマッピング。マリネした新鮮な牛の心臓をお出しすると、皆さん『赤貝みたい』、『こんなに日本酒と合うなんて』と驚かれます。その瞬間、壁一面に美しい海を映し出すと、お客様の心と体は海辺へと飛んでいく…それは単なる食事とは異なる、圧倒的な経験になるんです」
森田氏が考えるCEOとしての心得
01 一人ひとりのお客様をおもてなしする
02食材となった〝命〟への敬意を忘れない
03 イメージの具体化は、考え行動し続けること
イメージを形にするのは自分 人の話に惑わされないことが大切
自身の夢を的確に実現させてきた森田氏に、飲食業界で成功するための秘訣を聞いた。
「独立をめざす方の相談を受けることもあるんですが、僕は、みんな『やればできる』って思うんですよ。だけどやらなかったり、弱かったり、迷ってしまったりすることが多い。その理由のひとつは、人の話を聞いてしまうからだと思うんです。『こんな店をやりたい』と言ったり、実際に店を始めたりすると、いろんな人がいろんなことを言ってきます。僕も『そんな店やめなよ』とか、いろいろ言われました。それを逐一真に受けていたら、六花界はなかったと思います」
また森田氏は、夢や情熱を形にしていくときに生じるさまざまな〝歪み〟を、限りなく解消していくことが重要だという。 「たとえば僕が最初にイメージしたのは〝お店にたくさんのお客様が、美味しくて安い焼肉を楽しく食べている〟という光景です。それを具体化していくと、安くて美味しい肉が手に入りにくいといった〝歪み〟つまり〝イメージが現実とは異なる部分〟が生じます。同じことは、飲み物や金額、席数などでも起こる。その〝歪み〟を解消するには、最初に抱いたイメージを誰よりも大切にしながら、誰よりも努力することだと思うんです。だから僕は、肉の調達でいえば、食肉市場に通ったり、牧場で動物を飼育したり、肉作りを牛の精子から研究したりと、あらゆる努力をしています。自分自身が圧倒的なイメージを持ち、それを丁寧に紐解いていくことができたら、きっとすばらしい店ができると思います」
森田氏がイメージを具体化していく、その原動力はどこにあるのか。 「何よりも大切なのは、不特定多数ではなく『誰か一人を喜ばせたいという思い』だと確信しています。いろんな経営者がいると思いますが、誰でもその思いからスタートしているはず。それを忘れずに、あきらめずにやっていきたいですね」
CROSSOM MORITA
住 所:非公開
電 話:非公開
※詳細を知りたい方は六花界グループまでご連絡ください(03-3252-8644)
文:瀬尾 ゆかり 写真:yama
2017年11月02日 掲載