独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ
Poulet d’Or(プーレドール)
オーナー 北川 勝也
この美味しさを知ってもらいたい。
ロティサリーチキンの日常食化を目指します。
北川 勝也(Katsuya Kitagawa)
1976年、京都府生まれ。大学卒業後、京都のフレンチ、イタリアンのレストランで経験を積む。27才で上京し、際コーポレーションに9年間勤務。店長からスタートし、幅広くマネージャー業務に携わる。2012年11月、広尾に「Poulet d’Or」をオープンする。
2015年2月掲載
今、話題のロティサリーチキン つくば鶏を焼き立てで召し上がれ
ここ数年、流行の兆しを見せるロティサリーチキン。専門店も続々と増える中、「プーレドール」のこだわりは他の競合と一線を画している。
「ロティサリーチキンは焼き上がるまでに50分くらいかかります。そのため前もって焼いて、温め直すという店がほとんどですが、当店では焼き立ての美味しさを知っていただきたいので焼き置きをしていません」
なかには、「時間がかかるなら、もういいよ」と帰ってしまう人もいるとか。それでも、「一番美味しい状態で召し上がっていただきたいからです」と、オーナーの北川氏は胸を張る。
チキンの肉質にもこだわり抜いている。用いるのは茨城の”つくば鶏”。ジューシーでやわらかな食感、なおかつ味わい深いのが特徴だ。
「私自身、鶏肉が大好きなんです。なかでも胸肉が好きなのですが、調理の仕方によってパサパサになるので嫌いという方が多いですよね。そんな胸肉を美味しく提供できる数少ない調理法がこれでした。自分の店を持つときは、ロティサリーチキンをメインにしようと決めていました」
鶏肉の消費量が多い地域に育ったことも影響しているのではと語る、北川氏は京都府出身。大学卒業後、飲食の仕事を志し、地元のフレンチやイタリアンで経験を積んだ。
「ちょうど『料理の鉄人』が流行っていた頃で、いわゆるスターシェフのもとで働いていました。そこで、年配の人が若いシェフに小間使いのように扱われるのを見ました。自分がそうならないためにも、調理以外の勉強が必要だと強く感じました」
27才で上京し、際コーポレーションに転職。店長からスタートし、レストラン運営に幅広く携わる。
「最初に配属された『紅虎餃子房』は社内一の売り上げを誇る店舗でした。一日1000人ものお客様に満足いただけるよう、チームでがんばる経験は大きかったですね。店のデザインや施工まで、何でも自分たちでやろうという会社でしたから、いろいろなチャレンジもできました」
長く勤めるつもりではなかったが「学べることが多すぎて」、約9年間勤務。「そろそろチャレンジしなければという年令」に達した北川氏は35才で独立へと踏み切った。
お客様の口コミの積み重ね
子どもや年配者、外国人にも人気
当初、北川氏が出店を希望していたのは若者の集う恵比寿や中目黒など。なかなか条件が合わず、ふと目に留まったのが現在の広尾の店舗。まさに「運命の出会い」だった。
「前のオーナーさんと話しているうちに、『あなたのような若い方なら格安で譲りたい』と言われました。ロティサリーオーブンはフランスから取り寄せましたが、それ以外は何も買っていません。テーブルから食器まで譲っていただいたものです」
駅近ながら2階という立地もあって、オープンからしばらくは店を知ってもらうのに苦戦することも。ところが、テレビに取り上げらたことで一気に認知度が高まった。
「メディアの力ってすごいですね。1ヶ月半くらい行列ができました。ただ、その状態が落ちつき、久しぶりに来られたお客様から『入れなくて困っていたんだ』と言われました。メディア以上に、そういう方たちの『ここのチキンは美味しいから友達を連れてきたよ』といった積み重ねがあって、今があるのだと思います」
さらには場所柄も手伝い、外国人客の間にも評判は広がっていった。
「広尾は大使館の街。ロティサリーチキンはもともとフランスの料理ですが、フランス大使館もすぐ近くにあるんですよ。外国の方のご利用が多く、ランチタイムは日本人が1人もいないというときもあります」
今では北川氏が想定していたターゲット以上に客層は拡大し、幅広い年代の人たちの支持を集めている。
「気がつけば、小さなお子さんのいる家族連れや50代、60代のご夫婦の常連のお客様が多くなっていました。『子どもが大好きです』、『さっぱりしていて、いくらでも食べられる』などと言っていただいています」
北川氏が考えるオーナーの心得
01 安全・安心が第一
02 生産者の想いに応える
03 お客様がくつろげる店づくり
動物性飼料を与えない”つくば鶏” 化学調味料不使用で安全・安心
ロティサリーチキンをはじめ、「プーレドール」の料理がどれも年配者や子どもに好評なのは、美味しさ以外にも要因がある。安全・安心を第一に考え、提供しているからだ。
「直近まで中華に携わっていたのに、洋食で自分の店を出したのも中華料理は化学調味料を大量に使うから。そうしないと手もかかるのですが、使わずに済む業態にしたいと考えました。だからといって、”無化調”の店ととくに謳っているわけでもないのですが、結果的にそういうお客様が選んでくださっています」
素材の鶏肉も厳選したものだけに、量を確保するのは難しい。次の出店を図る上での課題となっている。
「実は、オープンから1年経たないうちに取引先を変えているんです。鶏肉が好きで始めた店なのに、なぜか私自身が食べたくなくなってしまって…。今の業者さんの農場見学にうかがい、謎が解けました。多くの養鶏業者では成長を早める高カロリーの動物性飼料を与えるので、そのにおいが肉に染みついてしまうそうです。ロティサリーチキンは良いものも悪いものも凝縮する料理ですから、くさみが余計に強くなっていたのです。動物性の餌を与えない”つくば鶏”は圧倒的に美味しいですし、これ以下のものは使いたくないと思っています。計画的に分けてもらうために、話を少しずつ進めています」
供給体制が整ってタイミングさえ合えば、北川氏の中でイメージはかたまっている。「ロティサリーチキンの日常食化」を実現できる店だ。
「日本人が鶏の丸焼きを食べるのはクリスマスくらいですよね。フランスではお肉屋さんの店先にオーブンが置いてあり、買って帰って食べるそうです。日本の揚げたてのコロッケのようなもの、そういうふうになればいいなと思っています。普通のオフィス街のスタンディングバルのようなお店にして、いつもは焼き鳥にビールのおじさんたちにもロティサリーチキンとワインを楽しんでいただきたい。家族へのお土産にも買って帰ったりして、この美味しさを広めてもらえるとうれしいですね」
Poulet d’Or(プーレドール)
住 所:東京都港区南麻布5-15-20
南麻布フラワーマンション2F
電 話:03-6721-7382
定休日:不定休
時 間:11:30~15:00(L.O.14:30)
17:30~23:00(L.O.22:30)
交 通:地下鉄日比谷線「広尾駅」1番出口より徒歩30秒
文:西田 知子 写真:yama
2015年02月19日 掲載