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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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PASTA COH

オーナーシェフ 阿久津 浩一

ここに集う人たちのために、存在する店でありたい。

阿久津 浩一(Cohichi Akutsu)

1974年、東京都生まれ。青果卸売会社で営業の仕事に携わった後、27才で方向転換し飲食の世界へ。フランス料理のレストランに勤務しながら、服部栄養専門学校で学ぶ。さらに、イタリアンをはじめ数々の西洋料理店を渡り歩いて経験を積んだ後、35才のときに独立。2010年1月、麻布十番に「PASTA COH」をオープンする。

2013年7月掲載

ラーメンとそばくらい違う!? 他店と一線を画す本物の生パスタ

 麻布十番駅からほど近いパティオに面した一角、鮮やかなオレンジのオーニングが目に飛び込んでくる。「パスタ コウ」は今年1月にリニューアル。オープンから3年目を迎えて「もっと外に向けてアプローチしよう」と、オーナーシェフの阿久津 浩一氏は店の外装を一新させた。

「翌日からはっきりと効果が現れたのには驚きました。店の評判は聞いていたけれど、行く機会がなかったという方が多かったんです。これまで、もったいないなと感じることもありました。ただお客様を迎えるにあたって、応えられないのに呼び込んではいけないと思っていました。中身がやっと伴ってきて、外に対するアピールを強めることができました」

 都内に生パスタを謳う店は数あれど、他店のそれとは一線を画した生パスタの専門店。簡易なパスタマシーンを用いず、数多くの工程を経て、時間と手間ひまをかけ、”本物の生パスタ”をつくり続けている。

「イタリアの昔ながらの製法でつくった生パスタです。自家製麺で手打ち、自然な風合いを大切にしています。1週間から2週間、生地を寝かせて熟成させ、一度に限られた数しかできません。自分の求める麺に到達するには、遠回りでもいろいろな工程を踏まなければなりません。そこが他の店とは違います。できあがったものは同じパスタというカテゴリーになりますが、実際にはラーメンとそばくらいの違いがあるはずです」

 従来はリストランテ等のコースの1品として出されることがほとんどで、食べられる機会が少なかった本格的な生パスタ。それをカジュアルに、誰もが楽しめるスタイルで提供するというコンセプト。老若男女、幅広いお客様から「これが本当の生パスタなんだ!」と驚きを持って受け入れられ、定評を獲得している。

「お客様と向き合い、対話してここまで来ました。料理の内容も練りに練って、新しいものを少しずつ取り入れて進化しながら、ようやく今、完成に近づいたと思っています」

年男だからを”心の保険”にして

36才を目前に独立、起業を果たす

 飲食の世界に入ったのが27才と、阿久津氏は業界的にはかなり遅いスタートを切っている。前職は青果卸売会社で営業を担当。唐突な方向転換のようだが実家が自営業だったこともあり、サラリーマン生活をずっと続けるつもりはなかったという。フレンチレストランで働きながら調理専門学校に通う多忙さの中でも、将来の独立を常に意識していたからこそ生パスタとの出会いがあった。

「学校で生パスタを多少習って、つくってみたのですが、はっきり言っておいしくなかったんです。一方で、これはもっと突き詰められるのではないか、という可能性を感じました」

 深夜に帰宅して、自宅で生パスタをつくり続ける日々。さらには仕事の合間を縫って飲食関係の人たちに会い、視野を広げることに努めた。

「技術は情熱と根性さえあれば身につけられますが、店の存在意義というものを理解したいと思いました。繁盛している店は存在意義が確立しています。料理やサービス、どういうところで必要とされるのか、店の形を大きな視点で見ようと、いろいろな人に話を聞かせてもらいました」

 イタリアンをはじめ、数々の西洋料理店で経験を積んだ後、2010年に独立開業を果たす。そのとき、阿久津氏は36才を目前に控えていた。

「36才になる前にオープンしようと決めていたのですが結局、ギリギリになりました。独立すると、何があるかわからないじゃないですか。うまくいかなかったときの”心の保険”として、今年は年男だから何とかなると考えられればいいかなと思って、すごく単純な理由ですよ(笑)」

 実際にオープン後しばらくは売上がなかなか上がらず、「耐える生活」が続いた。ようやく「手応えが出てきたのを感じた」という1年後、東日本大震災が発生。「また一から地固め」に取り組むことになった。

「独自性の強いパスタなので日ごろ食べ慣れているパスタのイメージで来店されると、拒否反応を起こされる場合もあります。好きな人は何回もリピートしてくれますが、ダメな人は残して帰るくらい、好き嫌いが分かれます。ですから、メニューを充実させるとともに、お客様と積極的にコミュニケーションをとるようにしました。”信用証明”じゃないですけれど、お客様が気に入っていただいているものはこんなに確かなものなんですよと、今も説明して確認してもらうよう心がけています」

阿久津氏が考えるオーナーシェフの心得

阿久津氏が考えるオーナーシェフの心得

01 人に必要とされる仕事をする

02 汲み取る能力を磨いておく

03 柔軟性と体力を身につける

店舗新装、レシピ本の出版に次ぎ 現実のSNSで新たな価値を創造

 店舗のリニューアルに続き、今月には生パスタのレシピ本「パスタマシーンで作る自家製麺入門」(日東書院)を出版。阿久津氏は今、また大きな節目を迎えている。

「生パスタについて、ここまで書いた本というのは他にないでしょう。家庭でもお店に近い味につくれるよう、エッセンスを伝えています。この本が、当店を気に入ってくれたお客様やいろいろと教えていただいた先輩方への恩返しになればと思います。先輩方に『自分の見込みは間違いなかった』と言われたり、お客様に『やっぱりね!』と言っていただければうれしいじゃないですか」

 次のステップとして、料理スクールの開校も視野に入れている。

「ただ利益を上げるための店舗展開には情熱を感じられません。お客様でありながら、良き仲間と呼べる人たちがここに集ってきているので、その人たちのために存在するお店でありたいと思っています。ただ、どんなに仲良くなっても店主とお客様の間には垣根がありますよね。そこを越えるには、教室という形にするのが一番だと考えました」

 出版されたばかりの本は料理教室の教科書にも最適。時を得て、阿久津氏は飲食業の枠にとらわれない新たな価値をつくり出そうとしている。

「ツイッターなど仮想のメディアではない現実のソーシャルネットワークのような、人々が実際に集まれる場所にしたいですね。関わる人たちが皆、共鳴し、学び合い、お互いに刺激を受けられる。そんな場をつくり出すことが、この店の存在価値につながってくると思います」

PASTA COH(パスタ コウ)

PASTA COH(パスタ コウ)

住 所:東京都港区麻布十番2-8-8 ミレニアムタワー2F

電 話:03-6435-0239

定休日:不定休

時 間:ランチ/11:30~15:00(L.O.14:30)
ディナー/17:30~23:00(L.O.22:30)

交 通:地下鉄

H P:http://www.pasta-coh.jp/

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文:西田 知子 写真:ボクダ 茂

2013年07月18日 掲載

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