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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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bistro K

オーナーシェフ 川島 啓二朗

毎日しんどいことばかり(笑)。
でも、しんどいことをやろうと、独立したんです。

川島 啓二朗(Keijiro Kawashima)

1973年、東京都生まれ。大学時代に好きなことを仕事にしようと決意。大学を中退し、飲食の道へ。個人店からホテルレストランを経験。ホテル時代はセコンドを任され、メニューづくりに貢献。外食企業時代では、現場を離れ、メニュー開発に携わり会社に貢献。2010年「bistro K」をオープン。

2013年4月掲載

好きなこと、得意なこと そして、売れる商品を考える

 中目黒駅から代官山へ向かっていくエリアは、エッジのきいた個人店が多くあり、いわばレストラン激戦区でもある。

 あえてその激戦区の中で、3年前から営業をスタートさせた「bistro K」。オーナーシェフの川島氏は立地について、築地との距離感を挙げて説明してくれた。

「カルパッチョやグリルなど、その日の鮮魚の素材感を活かしたひと皿をカジュアルに提供するビストロでありたいと思っています。そのためには、仕入れ先である築地になるべく近い方がいいわけです。それで日比谷線の各駅を築地から順番に探し歩いて、たどり着いた物件がここでした」

 物件探しの間、自宅でパンとパスタづくりに集中した。

「好きなもの、得意なものをやろうというのがひとつ。そして、差別化ができて、勝てるメニューをつくろうという考えがありました。その中心となるのが、自家製手打ち生パスタと自家製パンです」

 低温で二晩じっくり寝かせる生パスタは、パスタマシンで何度も折られることによって独特の深いコシが生まれる。自然なウェーブがついた生麺に濃厚なソースがしっかりと絡まり、噛むほどに旨みを増し、その新食感はクセになる。

 天然木の質感を基調にした空間は、余計な額縁などが飾られず、シンプルな空間だ。オープンキッチンは広く設計され、中華レストラン並みの火力をもつコンロを導入した。

「独立して店を出すということは、人生の勝負どころだと思います。企業で雇われていた時代は、社長のコンセプトを自分なりに表現する立場でしたが、今は自分のコンセプトをみずからのスキルで仕上げるという自由と責任があります。毎日しんどいことだらけですけど、スタッフとともに成長しながら、店をつくっていけるのが楽しいです」

自家製パスタメニューは

常時20種以上のバリエーション

 ホテルレストラン時代には和食の料理長をはじめ、さまざまなジャンルのシェフたちと積極的に交流を深めた。また、外食企業に勤務していた時代は、本部機能の中でメニュー開発を任されていたこともある。そうした経験が川島氏の引き出しの幅を広げ、その商品力は「bistro K」でも活かされている。

 自家製パスタのソースのバリエーションがすごい。

 ランチで5種、ディナーでは20種以上ものソースがずらりと並び、メニューとにらめっこしながら楽しく迷える。そこには築地から仕入れたさまざまな旬の鮮魚が活かされ、野菜も豊富に入る。この限られた広さのキッチンで、どういう段取りで仕上げられているのか不思議なほどである。ハーブティーひとつをとってみても、12種もの香りが用意されているのだ。個人店でありながら、大箱のレストラン並みのバリエーション。それが「bistro K」の大きな魅力だ。

「オープン当初から徐々に種類が増えています。世の中がいろいろなメニューを出している中で、個人店にも選ぶ楽しさが求められているのだと思うんですよね。でも、使命感でやっているわけじゃなくて、好きでやっているんですよ。それはもう、とてつもなく、しんどいことなんですけどね(笑)」

 食感を楽しんでほしいからと低温で一晩熟成させるパン。二晩も寝かせる生パスタ。週に何度も築地へ通い、その日最高の鮮魚を手に入れること。20種以上ものソースのバリエーションを毎日考え、仕込む。ドルチェも4種以上はつくる。すべてを手づくりで手間をかけて、スタッフとともにつくりこむ。その努力と体力が、バリエーション豊かな楽しく選べるメニューを支えている。

「そもそも独立するということが、しんどい道を選ぶことだと思うんですね。好きなこと、やりたいことだけ、つまり趣味の延長線上のことで食べていけるなら、そんな楽なことはありません。でも、お客様によろこんでいただき、スタッフの生活もある。ということは、その趣味の世界とは別に、売れる商品をつくることが求められるのです。商品力とは、味はもちろんのこと、手間だったり、サービスだったり、ワインの揃え方だったり。で、商品力というのは、とてもしんどいことの、その先にあるものなんだと思います」

川島氏が考えるオーナーシェフの心得

川島氏が考えるオーナーシェフの心得

01 好きなことと、売ることは違う

02 勝てるメニューをつくる

03 接客サービスも、商品のひとつ

料理の提供時間もテーマ、チーム力も商品力のひとつに

 商品力のひとつに接客サービスも含まれる、と川島氏は考えている。「bistro K」では、元気な声を張り上げるような接客ではなく、むしろトーンを抑えた大人の接客を心がけている。スタッフ間のオーダーなどの申し送りも丁寧に伝えられ、スタッフ同士が「ありがとうございます」と紳士的にやりとりする。

「ワインや料理を楽しんでいるときに、耳障りなやりとりなんて聞きたくないですよね。大切なひとときをジャマしないように。それもサービスだと考えています」

 今後チーム力をさらにアップさせていくことも、大きなテーマとしている。

「ランチでは、スピーディに料理をお出しすることもサービスだと考えています。今はまだ十分にサービスできていませんが、仕事の合間の限られた時間にご来店いただき、ランチを楽しんでいただくためには、チームのスピーディな連動性が求められます」

 「独立して、レストランを運営することは、とてもしんどいこと」と川島氏は繰り返す。終電間際に店を出て、仕入れのある日は朝4時半に築地へ行く。仕込みに時間と手間をかけ、メニューのバリエーションには妥協がない。いわば、料理づけの毎日である。それなのに、家に帰ればまたシェフの役を買って出る。

「家庭でも、私が料理を担当しています(笑)。カウンターキッチンになっていて、ときどき知り合いを招いてホームパーティみたいな真似ごともしたりしています。大変ですけどね」

 24時間、いつでも、どこまでいっても、料理が大好きなシェフなのだった。

bistro K

bistro K

住 所:東京都目黒区上目黒1-6-5 森ビル2F

電 話:03-6452-2356

定休日:日曜・祝日

時 間:【平 日】ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)
ディナー17:30~23:00(L.O.22:00)
【土曜日】ランチ12:00~16:00(L.O.15:00)
ディナー18:00~23:00(L.O.22:00)

交 通:各線中目黒駅より徒歩3分

文:高木 正人 写真:ボクダ 茂

2013年04月04日 掲載

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