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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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青山 すし泉

主人 小泉 恵一郎

すしも、空間も、お客様も、すべては自分を表現したもの。

小泉 恵一郎(Keiichirou Koizumi)

1970年、山梨県生まれ。父親が埼玉ですし店を経営。大学卒業後、札幌のすし店で修業をはじめる。5年後、都内のすし店を経て、アメリカへ渡る。約1年にわたり、シアトル、ロサンゼルスなどのすし店で働く。帰国後、30才で独立。2000年「青山 すし泉」をオープン。

2013年3月掲載

「毎日怒られに来なさい」と言われた修業時代

 とにかく人の下にいるのが嫌だった。人の指示や命令などに従いたくない性分。だから大学を卒業したときも、サラリーマンになろうなどとは思わなかった。

「父親がすし店を営んでいまして。小学生のころ、その姿を見て楽しそうだなぁと感じていました。今思えば、そのころの日本は70年代の高度成長期、企業やチェーン店よりも家業である個人店の方が勢いがあった時代でしたからね」

 22才からはじめたすし修業では、札幌、東京のすし店を回った。独立前の1年間はアメリカの西海岸に渡り、すしを学んだ。

「札幌時代は、『毎日怒られに来なさい』と言われました(笑)。自分が出来ないこと、無知・無力を思い知る毎日でしたね。アメリカへ行き、日本のすし文化を外側から見ることができたのも、とてもいい経験になりました」

 茶道や武道など、ものごとを習得していく3段階をしめす「守破離(しゅはり)」という言葉がある。「守」とは、師匠から教わったルールを守ること、「破」とは、学んだことを自分の価値感に照らし合わせて論破すること、そして「離」とはそれまでの立ち位置から離れて、自分のやっていることを客観的にみつめ、オリジナリティを追求することである。

 札幌、東京、アメリカと渡り歩いた小泉氏の修業時代は、偶然にもこの「守破離」の道のりを体験してきたようにも感じる。

「守破離はたしかに大事な考え方です。でも私はそれを意識していたわけではありません。むしろ、独立したころは、見識もせまく、生意気で、自信満々(笑)。あのころの自分を振り返ると、本当に冷や汗がでてきますよ」

 知人の紹介で現在の物件と出会い、一発で契約した。周辺にある業態や青山の街の人々の嗜好を調べることもなく「青山 すし泉」をオープンさせたのである。

創業2年目で、もう一度

ゼロから店づくりを考えた

 オープン後、しばらくすると次々に出版社からの取材が殺到し、集客は増え、売上も急上昇。同じ年代のサラリーマンよりも、はるかに多くの年収を得るまでになる。

 普通の店主なら、ここで満足するかもしれない。自分のやっていることが正しいと信じ、今のままの営業スタイルをつづけていこうとするのが当然かもしれない。

 しかし、小泉氏はそんな状況を疑ったのだった。

「人の縁だけで自分の店をもつことができて、たまたま多くの雑誌に掲載されただけでこんなに数字が出てしまう。これは成功なんかじゃない、絶対におかしいと思いました。自分はそんなに価値のある人間のはずがないのです。それで、すべての取材をお断りして、自問自答を繰り返しました。俺は何をやりたいんだ? 営業スタイルはこれでいいのか? テーブルクロスや器、道具などもこれでいいのか? どういうすしを提供し、それをどういう人に味わってほしいんだ? そういう自問自答を繰り返しながら、店づくりをもう一度、ゼロからスタートしたんです」

 昨日までの成功をバッサリと捨てた。そして、新店をオープンさせるような想いで、店をリニューアルさせていった。そのときのキーワードは「江戸文化・オリジナリティの表現」だった。

 仕入れを根本から見直し、その日自分が一番いいと思うものしか仕入れない方針に変えた。結果的には、リニューアル前よりも客単価が上がる。昨日までの馴染み客が次々に減っていくなか、それでいいと思った。本当に自分がやりたいオリジナリティだけを追求していったのだ。すしも、空間も道具も、お客様も、すべては自分らしさ、オリジナリティの表現──。小泉氏は、そう考えたのである。

「おかげさまで創業13年になりますけど、あのときの開き直りというか、お金のことは二の次で、とにかく自分がやりたいことを見つめなおし、店をゼロからつくりなおしていったことが、人生の分岐点だったかもしれませんね」

小泉氏が考える主人の心得

小泉氏が考える主人の心得

01 安全で、うまいものを提供する

02 すしは自分の見識

03 よそはよそ、うちはうち

自分が納得できるまで、突きつめて考える

 小泉氏はいまでも、常識的なことを疑い、当たり前に思われていることを、自分なりの答えが出るまで、突きつめて考え抜こうとする。

 江戸前のすし文化のことを研究し、人間の味覚と関係する脳や細胞について学び、古くから先人たちが築いてきた知恵について吸収しつづけている。

「私はね、自分にしつこいタイプなんです(笑)。自分なりの解答が出るまで、とことん突きつめないと気がすまない。うまいものとは何か、と掘り下げようとすると、脳や細胞の仕組みを研究しなければならない。あるいは、魚の甘みや香りを引き出すために最適なのは何℃の環境なんだろうかと、いろいろ研究してオリジナルのネタケースをつくったり。そうやって、掘り下げるとおもしろいですね。でも、いろいろ勉強すればするほど、私なんて、ただ先人たちの知恵の上で、商売させてもらっているだけの、ちっぽけな存在でしかないと分かるんです」

 と、店を取り巻くあらゆることに感謝している。

 漁師への感謝はもちろん、漁船を海へと運んでくれる燃料や、輸送トラックが魚を大切に運んでくれるように整備された高速道路などの交通インフラに至るまでを、商売につながっていることとして感謝する。

「季節に寄り添って生きて、季節を握る」

 好きなことをやれ、が小泉氏の人生観。すしの道を志す若者が減少していることについても「本当にすしが好きで、やりたい人がすし文化を引き継いでいけばいい」と語る。

   ※   ※   ※

 カウンターに立つと、小泉氏は最上級の本マグロの大トロをにぎってくれた。噛むほどに濃厚な旨みが口に広がる。「おいしいですね!」と伝えると、小泉氏はこう付け加えた──。「それは、このマグロに言ってあげてください」

青山 すし泉

青山 すし泉

住 所:東京都港区南青山3-2-7 ブラック青山1F

電 話:03-5410-6010

定休日:日曜・祝日の月曜日

時 間:平日 12:00~14:00/18:00~22:00
土曜・祝日 12:00~14:00/18:00~21:30

交 通:地下鉄銀座線外苑前駅徒歩3分

文:西田 知子 写真:yama

2013年03月07日 掲載

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