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独立希望者必見!個人店オーナーからの熱いメッセージ

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オーナーシェフ 古賀 哲司

喜ぶと予測できてチャレンジしないなら、仕事をしていないのと同じ。

古賀 哲司(Tetsuji Koga)

1972年、九州生まれ。24才で料理人を志す。96年、代官山「タブローズ」に入店。99年、パティスリー「パステル」を経て、2000年に表参道「レストランJ」の副料理長を務める。02年、丸の内「ブリーズ オブ トウキョウ」総料理長に就任。09年「エディション・コウジ・シモムラ」を経て、独立。

2012年11月掲載

すべてのお客様のホーム(邸宅)であるために

ランチ時にお邪魔した「オルタシア」の店内は、どのテーブルからも女性たちの明るいおしゃべりが響いていた。イタリアンレストランでワイワイしている様子はよく見る光景だが、ここは麻布十番のフレンチレストラン。なぜ、これほど楽しそうに食事をしているのか──。そんな疑問が第一印象であり、インタビューのテーマになった。

古賀氏が立地として麻布十番を選んだ理由は、コンセプトと深く結びついている。 「すべてのお客様にとってのホーム(邸宅)でありたいと思っています。空間に天然木を贅沢に配したのも、あたたかさを感じていただきたかったから。立地についても、冷たい感覚をもつ街とはひと味違って、人のあたたかさを感じる街なので、麻布十番を選びました」

お店のホームページからダウンロードできる地図ひとつをとっても、はじめて来店する人の視点に立って、きめ細かく描かれている。

電話予約のとき、何を食べたいのか、コース名などを伝えるのが常識化されているが、「オルタシア」では料理について前もって伝える必要はなく、またレストラン側から問われることもない。なぜか。 「お客様にしてみれば、予約のときに食べたいと思うものと、当日食べたいものは変わってしまうのが当たり前だからです。その日の天気、体調、仕事内容、疲れ具合などによって、誰だって食べたいものが微妙に変化するでしょう? それを何日も前に決める必要がどこにあるのでしょう」

確かに、飲食店の多くは「お客様のために」という理念をもっていながら、気がついてみると、自分たちの業態やルールやオペレーションの都合の上に、お客様を乗せようとする。よくあるのが、鍋料理を2名以上から注文できる、というもの。しかし、古賀氏はそういう発想をしない。例えば、スペシャリテのひとつ「岩塩包み焼き」は、2名以上からしかオーダーできないレストランも多いなか、「オルタシア」にはそのような制約はない。

ワイワイ言い合いながら

メニューを選ぶ楽しさ

メニューを見ながら、食べたい料理を選ぶのはレストランの楽しみのひとつである。

古賀氏が提案しているメニューはシンプルでありながら、選ぶ楽しさに満ち溢れている。前菜9品とメインディッシュ9品、ふたつのリストがあり、そこから食べたいものを4皿チョイスして、価格は同じというスタイルだ。ここまでなら、プリフィックススタイルに近いが、前菜だけ4皿オーダーすることもできれば、メインディッシュだけで4皿をチョイスすることも可能だ。ワインを楽しみながら4品の前菜をおつまみにしたり、4皿すべてをメインディッシュにして、贅沢感を味わうのもいいだろう。こうしたメニューの仕組みは、もはやプリフィックススタイルを超えて、オートクチュールスタイルともいえる。 「みなさんワイワイ言い合いながら、メニュー選びを楽しんでいただいています。同じテーブルなのに、いきなりひと皿めから、ぜんぜん違う料理が出てきて、そこでまた会話がはずんだり。自分だけのコース料理みたいに楽しんでいただければ光栄です」

子供連れ限定の「キッズデイ」というプランも、月に1回開催される。 「お子様ができると、どうしても非日常的なレストランでのひとときを楽しめなくなってね、という声をよく聞きます。すべての人のホームでありたいと願う当店では、キッズデイを企画しました。テーブルのそばまでベビーカーを入れて、子供用ソファシートもご用意いたします。はじめは子供たちの声が大きいのですが、そのうちお母さんたちのおしゃべりの声の方が大きくなってくるんですよ(笑)。周囲のみなさんがお子様連れのため、安心して気兼ねなくお食事やおしゃべりを楽しめるんですね」

古賀氏が考えるオーナーシェフの心得

古賀氏が考えるオーナーシェフの心得

01 妥協しないこと

02 誠実であれ!

03 向上心をもちつづける

すべての仕事に、柔軟性、効率性が求められる

本当の意味での「お客様のために」をカタチにしている「オルタシア」。一度来店すると、8割もの人が再訪するという脅威のリピート率である。

しかし一方で、その日食べたいものを自由にチョイスできるということは、レストラン側にとっては想像もつかないほどの仕事量、柔軟性、効率性が求められるはずだ。「ひとことで表現するなら、日々、戦場みたいな忙しさです(笑)。この時代、インターネットや物産展やデパートなどで誰もがいい食材を入手できるようになりました。ということは、いい食材をシンプルに楽しむぐらいのことは、ご家庭でもかんたんにできてしまう時代なんですね。私たちレストランの存在意義は、極上の食材を使うことは当たり前で、そこにひと手間もふた手間もかけたひと皿をご用意することだと考えています。ということは仕込みにも、ものすごい時間と手間をつぎ込んでいるわけです。フライパンを振るスピードひとつにも、効率が求められます」

サービススタッフにも同様のことがいえるだろう。ひと手間もふた手間もかけて表現された料理を、さらに美味しく楽しんでいただくための人間力が要求される。

すべてのスタッフが自分たちのコンセプトを理解し、仕事をしていると、古賀氏は自信をもって言う。酒屋さんやお花屋さんなど、いわゆる業者の方に対しても一人ひとり、丁寧な人間付き合いをしている。それら、ひとひらの花びらたちが連動し、共鳴しながら「オルタシア(=アジサイ)」は開花するのだ。「サービス業を突き詰めてカタチにすることは、本当に大変な道のりだと思います。でも、お客様が喜ぶことが分かっているのに、自分たちの都合を優先してそれらにチャレンジしないとしたら、それは仕事をしていないのと同じではないでしょうか。私たちは、これからもレストランという枠にとらわれることなく、サービスについて、人と人のつながりについて、深く突き詰めていこうと考えています」

hortensia(オルタシア)

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住 所:東京都港区麻布十番3-6-2 NS麻布十番ビルB1F

電 話:03-5419-8455

定休日:水曜日

時 間:ランチ 12:00~13:30(L.O.) ディナー 18:00~22:00(L.O.)

交 通:地下鉄各線麻布十番駅より徒歩3分

文:高木正人 写真:yama

2012年11月15日 掲載

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